鉄剤について

他の各所で書いているように、私は鉄剤...特に二価鉄を含むことをうたっている液肥の必要性については、かなり懐疑的です。

もちろん、絶対に使うべきではないなどと言うつもりはありませんし、明白な鉄不足症状(ex.Ca不足などではない頂芽の白化・黄化など)が出ている時に、即効性があるものとして使用することも有りでしょう。

 

もちろん、私は植物生理やアクアリムの専門家ではなくて、たんに趣味で水草水槽をやっているだけですから、これだけ根強く支持されているものについていろいろと断言する自信もないのですけどね。何かにきっかけで意見を変えちゃうかもしれないし。

そんなヤツの一意見として気が向いたら読んでみてください。

 

それと、私は鉄剤はいっさい使っていないということはなくて、使っています。ただ液肥タイプはおそらく(よほど明白な鉄不足症状が出ているような状況にならない限りは)もう使わないだろうなってだけです。

 

なぜ、鉄剤を、それも二価鉄の液肥をやたらと使う必要はないのではないか?と考えているかと言うと...

  • ソイルには鉄分が必要充分に含まれている。
    もちろんずっと使用し、トリミングで排出していけば減ってくるのは確かだけど。ちなみに水道水には以前ほど含まれていませんね。地域差はあるでしょうけど。少なくともウチのあたり(南関東)の水道を調べた限りではそうです。
  • 水草が二価鉄のかたちでしか鉄分を吸収できないのは確かだが、水草は根酸(≒クエン酸)によって土壌中の鉄分を吸収することが出来る
  • pHが高めだと水草が鉄分を吸収しにくくなるのは事実。
    だが、ほとんどの水草水槽は弱酸性で維持されているはず。
  • 「赤くなる水草をしっかり赤くするためには鉄剤」という認識が広がっているが、水草を赤くしていく上で、いろいろ試行錯誤してみた結果としては、鉄の追加投与がそれほど優先的に重要度が高いとはとても思えない。
    水草を赤くする
    もちろん鉄は、光合成・色素形成と深く関係しているので、鉄が不必要...無関係であるとは思わない。それと、それなりの経験に基づいて鉄剤が水草をより鮮やかに赤くすると断言している人も多いことも理解しているつもり。
    なんにせよ関係ないという気はなくて、それほど優先的には重要ではないと考えているだけ。
  • 二価鉄は、水槽中のリン酸と容易に結びついてリン酸鉄になる。
    リン酸鉄が多い状況は水草にはかなりの毒で葉を痛めたりする。
  • 二価鉄過剰は、魚などにもかなりの毒になる。
  • 水中の鉄が多いと、鉄バクテリアによる油膜発生の原因になる。
  • 鉄の過剰は、カリウムやモリブデンなどの吸収阻害につながる。

って感じです。

誤解されないようにしつこく書きますが、冒頭で書いているように全く無意味だとは思わない。鉄不足症状の緊急手当にはきっと役立つとは思っていますし、そもそも鉄が不必要だとも思っていません。

 

では、いずれ水槽中から減っていく可能性が高い鉄分補給をどうすれば良いかですが、結論としては固形の鉄肥料を使うべきだと思っています。

というか、延々といろいろやってみて辿り着いた(今のところの)結論は、

  • 使い捨てカイロの中身を水で晒して塩化ナトリウムを抜く。
    水を捨てる過程で、炭も大雑把に取り去る。...鉄のほうが沈むのでかき混ぜながら水を捨てることで炭も取る。
  • 残った鉄粉を取り出して広げて乾かしておく。...纏めておくと錆びて大きな塊になってしまうので。
  • この鉄粉...錆びてちょっとまとまって顆粒状になっているものを、適当にほんのすこしだけソイルに埋める。

これだけです。

使い捨てカイロの中身の鉄粉は純度の高い鉄なので、クロムとか何が使われているかわからない鉄釘とかを使うより安全でしょ?

鉄釘でも、すごく小さくてメッキしてない鉄製のものがあるなら、それでも良いと思います。

 

つまり、散々書いておいて、結論はただ鉄を入れるだけ。ww

(二価鉄の供給効率みたいなことさえ言わなきゃ)酸化鉄で全く問題ないはずです。むしろやたらと鉄をやり過ぎないって点はメリットだとさえ思っています。

 

鉄剤についてはいろいろ使ってみたり自作してみたりもしたんですよ。過去には。

もちろん最初はメネデールから始まってね。もういろいろと。

自作は、最初は使い捨てカイロを使ったクエン酸鉄ですね。
興味のある人は、「クエン酸鉄 水槽」とか適当に検索すると作り方がいっぱい出てきます。

これも、やっぱり塩化ナトリウムを入れるのはイヤだな...ってことで、いろいろ独自に作り方を工夫してみたりね。

塩化鉄(FeCl3手を出してみようか...なんてチラっと思ったこともあります。農業でも実際に使われるし、工芸用品店とかでもエッチング用のが割と簡単に手に入るし。市販の水草用鉄液肥でも実は塩化鉄が原料じゃないの??って思っているものもあります。

でも、なんか全部違うなと。

特に底床供給器にpHが低い鉄液肥入れてしくじってから
...実際は、鉄液肥のせいというよりも、ボケててほとんど同時期にpHが低い他の自作液肥も間をおかず何度か...自分で決めた適量を守れないで底床内をかなりの低pHにしちゃったという大失態をおかしてから、

液肥はちゃんと管理できないと事故るな...って懲りちゃったってのもあるんですけど。

もちろんこれは気分の問題で、「だから鉄液肥はダメだ」っていう理由にはならないですけどね。

 

それと矛盾するようですが、いちおう市販の鉄剤について擁護しておくと、もしかしたら比較的安定で毒性も殆ど無く、簡単にリンと結びついてリン酸鉄をつくってしまうということもないかたちにしてあるのかもしれません。...このあたりは正直良くわかりません。

市販のアクアリウム用の鉄剤って内容物についてほとんど書いていないでしょ?なので、判断のしようもないですね。


ちなみに、そうやって鉄剤を使ってみたりしているウチの水槽ですが、では鉄不足の症状が出ていたのか?と言われれば、

そんな症状は見たことが無いです。
...なんだかんだと鉄供給しているんでしょ?って言われればその通り。

でも、鉄になんて興味を持っていなかったかなり昔を思い出してみても鉄不足の症状って見たことないですけど。

 

じゃーなんでやっているのかって言われれば、

  • 鉄不足の予防のため。というか正直に言えば気分。
    これだけみんな鉄が大事だって言われれば、やらなきゃなんか不安にもなるじゃん。w
  • 底床内に嫌気域が出来て硫化水素を発生するような状況の予防のため
  • 黒ヒゲを抑制する効果が高い。
    先の鉄剤...つまりは赤錆まみれの砂礫サイズの鉄...を給水口の下とかの水が動くところに多めに撒いておくと、水中のリン酸と結びついてこれを不溶化。水中のリン酸を減らします。アルミナなどのリン酸吸着剤と同じような効果が期待できます。

です。

ずっと以前にソイルを完全に泥化させて硫化水素が出るような状況にしちゃったことがあるので、ちょっと恐怖心でやっているわけです。

鉄剤入れておけば確実に予防になりますからね。

今は底床供給器使っているので、ごく一部ならともかく全体的に底床内が嫌気化するような状況は殆ど考えられないんですけど。

 

なぜこんなに鉄剤が人気なのか?必須元素としてはもっと優先順位が高いものが沢山あるのに、鉄が大事というならモリブデンやホウ素は??
もちろん微量必須元素と言われるものの中では鉄の必要量は他のものより一桁多いのは確かですけど、それでも、そもそも鉄不足症状なんて滅多に見られないのに...ってことについて、以下、極めて勝手な想像ですが、

  • クリプトコリネの自生地などの水質調査で、現地の水はかなり鉄分が豊富なことが分かったので、これを基準に...自生地の環境に近づけるべきである...という考えが広まった。特に欧州から。欧州はそもそもが硬水が多くて鉄不足になりがちですしね。
    でも、多くの水草はそんなに鉄分がやたらと豊富な環境に生えてるわけじゃないんですけどね。
  • 欧州製の鉄分測定試薬の説明書に出ている指標が、上記の特別に鉄分が豊富な環境程度の鉄分濃度を「理想的」としてしている。
    0.5mg/l~1.0mg/lってかなりの濃度だと思うのだけど。
    ちなみにこういうところでもこれ以上の濃度は「魚などにも毒で危険だ」って書いてありますけどね。
    なんにしてもこの指標をもとに水質チェックしたら、国内のほとんどの水槽で「鉄不足」ってことになるはずです。
  • そんなことも背景に権威付けられた上で、メネデールなどを使ってたまたま...その人の水槽では本当に鉄不足だったのかもしれないけど...良い結果を出した人のエピソードがひとり歩きした(??)。
  • 商品を売りたい側としては、これに乗っかって、「水草が二価鉄しか吸収できないという事実」をもって、二価鉄液肥が大事ってやった。上記には字面だけならウソは無いけどさ。

こんなところではないかと思っています。

 

コメント: 8
  • #8

    管理人 (金曜日, 18 11月 2016 00:34)

    真水だと上手く行かないんじゃないんでしょうか。
    クエン酸鉄も 使い捨てカイロに入っている鉄・炭・塩も全部いっしょにいれるところがミソなので。伝導率を上げないと。
    でも、塩化ナトリウムを水草水槽に入れたくないじゃないですか。
    なので、代わりに、私の場合は、塩化マグネシウムを入れたんですけど(何度かやっていて、後の方は硫化マグネシウム)。
    ただ私、化学に自信ないし、測定もしてないので、なんとも言えませんが。自信がないから 書いてないのですけど。
    でも、そのうちに試薬をまた買って 以前につくって取ってあるものを希釈して測定してみようかなとかは思ってます。
    なんか教えてもらっていたところを見てたら、実はイケてたんだじゃないか?とか思い出したので。

  • #7

    匿名 (金曜日, 18 11月 2016 00:06)

    真水でどの程度の濃さになるのか知りたいところです

  • #6

    管理人 (木曜日, 17 11月 2016 23:52)

    あっなんかすごいですね。ちゃんと長期保存できているんですね。
    そのうちに あらためてやってみようかな。

  • #5

    匿名 (木曜日, 17 11月 2016 23:47)

    http://masax.blog.eonet.jp/default/2013/10/post-4b96.html
    http://masax.blog.eonet.jp/default/2013/10/post-a32b.html
    http://masax.blog.eonet.jp/default/2013/11/post-46d1.html
    本当にメネデールより濃くて安価ならかなり使えますね
    ピートは煮だしたらダメなんですね

  • #4

    管理人 (木曜日, 17 11月 2016 23:42)

    似たようなことはやってみていました。
    遮光の薬瓶の空き瓶に、鉄粉と炭と塩化マグネシウムとブラックウォーターを入れて保存するってのを。
    リクツはあっているとは思うんですけど、色付き水で測定できないし...
    気分で使っていた感じです。
    こーやれば測定出来てたんですね。

  • #3

    匿名 (木曜日, 17 11月 2016 23:35)

    http://masax.blog.eonet.jp/default/2013/09/post-a249.html
    ピートモスの水出しで作れるならかなり安価ですね

  • #2

    管理人 (木曜日, 17 11月 2016 23:01)

    教えてもらって、ありがとうございます。
    これはリクツとしてはクエン酸鉄とか鉄炭団子とかの作り方と同じですね。

  • #1

    匿名 (木曜日, 17 11月 2016 22:42)

    http://masax.blog.eonet.jp/default/2013/09/post-7424.html
    海水だけれどもこういう実験している人もいるんですね