以下は、「施肥/NP系液肥の底床注射」のページから削除した内容を保存しているものです。

腐植酸アンモニウム液肥(0.2-0-0)

現在以下の肥料は使っていません。かわりに尿素水を使っています。

ハイポネックスを元にした0.2-0.1-0.1でもやっぱり黒ヒゲの出方などから、リンが多すぎる...カリや微量元素は別にあげているし、欲しいのは窒素だけ...と感じて、現在はアンモニウム液肥(0.2-0-0, もう少し正確に言うと、0.16-0-0。)を主に使っています。

 

 

作り方は、

薬局方アンモニア水(10%)を2mlに対して、
濃い目に出したピートモス水を100ml加えます。

この段階で、pH6程度以下になっていることを(アンモニアがアンモニウム NH4+化していることを)確認します。

アンモニアはかなり強いアルカリですから中和しきれない場合もあります。その時は、クエン酸をごく僅かずつ...耳かきの先で入れるくらいの感じで加えていって確実に溶かしながら、pH6程度になるように調整していきます。

市販のブラックウォーターを使うってのも無しではないですが、あれは(少なくとも私が使ったことがあるテトラのは)pH6くらいなので、なかなか中和しきれません。

むしろ、自分で無調整のピートモス買ってきてpH4くらいのものを作ったほうが良いです。その方が色も薄めにできるし。

クエン酸は「毒」というわけではないのですが、根が養分吸収のために出す根酸とほぼ同じなので、底床内で固定化されていた養分を溶出させる効果があります。つまり一時的に想定以上に施肥したのと同じことになりかねないわけですね。なので、できるだけ腐植酸で中和させるようにしてクエン酸の使用は使うにしても最小限にしましょう。

どうしてもクエン酸をかなり入れないと中和できないという場合は、0.1-0-0とかよりアンモニアを薄めるようにしましょう。

 

出来たものを、底床注射または底床供給器で底床内に送り込みます。

この時に一気に水中に漏れ出すことがないように気をつけて下さい。

また水槽水のpHが7を超えている時は使用しないで下さい。

 

いちおう書いておきますが、アンモニアほど強い毒ではないけれど、アンモニウムも魚やエビには毒です。

さらに、水草の根に吸収されなかったアンモニウム NH4+ は硝化バクテリアによって亜硝酸 NO2- になります。これも毒ですね。最終的にはほぼ安全な硝酸 NO3- になるわけですが、

やっぱり使用量は気をつけて...かなり少なめから使い始めましょう。念の為に。うちではいちおーエビとかに影響は出てないですけど。

ちなみにうちの環境で、1日に添加するのは最大5mlと決めています。もちろん60cm水槽に5ml/1日なら常に大丈夫ということではなくて、これは硝化バクテリアの充実度や水草全体の活動量によって使って問題無い量は変わります。

出来るだけ少なめから始めて自分の水槽の適量を探って下さい。

 

窒素肥料としては硝酸態窒素の方が遥かに安全ですし、葉面吸収する水草は硝酸態窒素しか使わないものが殆どですが、クリプトコリネのようなアンモニウムのほうが好きな水草もあります。

というか、おそらく水中の泥に積極的に根を張る水草の殆どはアンモニウムのほうが好きなハズです。

水中の泥は低酸素環境になりやすいので、硝酸態窒素を手に入れにくいからです。

農業関連では、イネや里芋などはアンモニウムばかり使うことが知られています。

 

「水草は硝酸態窒素しか使わない」なんてことを書いてあるところもありますが、それは明らかな間違いです。おそらく畑作・園芸関連の知識を応用して勘違いしてしまったのでしょう。

畑の作物の殆どは硝酸態窒素を優先的に利用しますから。

 

アンモニウムは硝酸態窒素と違って水換えで流亡しにくいというメリットもあります。

ソイルの陽イオン交換によって吸着・保持されるからです。

...だから、底床供給器などをつかって底床の奥に入れるわけですね。もちろんそれ以前に水中に撒いたら毒だから、出来るだけ奥に入れるわけですけど。

ソイルに吸着されずに漏れだした分は僅かであれば素早く亜硝酸・硝酸に硝化バクテリアが変換していきます。

 

毒と言えば、アンモニウムはエビや魚にとって毒であるというだけでなく、植物にとっても適量を超えると著しい成長障害・枯死を引き起こします。適量を見極めましょう。

 

適切に使うと効果はテキメンですよ。

例えば、このあたりの有茎草を優先して伸ばしてやりたいなんて時にそのあたりに底床注射すると、まるで伸び方が変わります。

クリプトコリネとかブリクサとかはグングン伸び始めます。