CO2無添加で水草を育てるなら...

「自然の水草はCO2添加なんかされなくてもちゃんと生えている。CO2添加なんて必要ないはずだ。」なんていうのを言っている人をたまに見かけます。

実際に自然の中ではそうですよね。

ならば、フツーの(例えば60規格とかの)水槽で、それが出来るかというと、育てる水草の種類や密度などの条件にも依りますが、なかなかそうはいきません。特にCO2添加必須と言われている水草を密植していたら、まともに育たないです。

もうこういう水槽は、自然の環境とはかなり根本的に違う環境になっているんです。

では何が違うのか?...同じにしていけば、育つはずですよね?

 

いちおう念の為に予め書いておくと、ここで最後に出す結論のような環境の水槽で水草を育てたことがあるわけではありません。
ただ水草の生理についてのリクツと屋外でメダカを飼っている...ついでに水草も沢山入っている箱などでの経験から、書いているだけです。

 

これを書こうと思ったきっかけは、

最近、いろいろなところで、「CO2を入れるのは弱酸性にするためで、弱酸性に出来るならCO2を入れなくても良い」みたいなことがけっこう書き込まれているのを目にしたことです。

 

これは順番が逆というか、100%間違っているとも言えないけど、

とてもじゃないけど正しいとは言えないです。

 

多くの水草は...特に本来は湿地の植物で冠水にも耐える植物を使っている場合は、これらの水草はHCO3を上手く使えません。
アルカリ寄りだとCO2が水に溶け込んでもHCO3になってしまうわけです。だから、CO2をそのままCO2として使える弱酸性じゃなきゃダメ。

ってことです。
ちなみにマツモとかの完全な沈水性の水草はHCO3を比較的容易に使える種類が多いですね。...それでもCO2が使えるならCO2を優先して使うわけですが。

 

水草はCO2が使いたいから(それだけの理由じゃなくて他の必須元素の取り込みも関係あるけど...例えば鉄はアルカリだと取りにくくなるとか)、弱酸性が良いのであって、

弱酸性ならばCO2が無くても良いわけじゃないです。

順番が逆

 

ただ、最初から弱酸性ならばより少ないCO2の溶けこみで水草が育つようになる。

こういう言い方なら正しいわけですよね。

 

ならば、最初の条件は、

弱酸性に維持されている

でなければ

HCO3を上手く使える種類の水草が入っているか

どちらか・あるいは両方満たしていたほうが良いということになります。

HCO3を使える水草っていうのは、つまりは弱アルカリでも育つと言われているとか・CO2無添加で育つと言われている水草のことですね。

 

pH,KH,GHの調整

CO2添加量の調整

 

次に、そもそも水にCO2が溶け込みやすい環境になっているということが大事です。

例えば、

  • エアレーションをしているか、
    水面を風が動く...外の風が入ってくるとか・ファンを回しているとか
  • 魚が多い。
  • 水量に対して水面の大きさが大きい
    つまり、ごく浅くて広い水槽。(あるいは浅く水を入れる)

これらのうちの幾つかの条件を満たしていれば、CO2は溶け込みやすくなりますよね。

CO2添加をしている時にはエアレーションをしちゃダメとか書いてあると思いますが、ある程度以上揺らすとCO2が抜けやすくなるからです。

でも、そもそもCO2添加をしていないなら水に空気を積極的に触れさせないとCO2は溶け込んでくれませんから。
CO2は溶け込みやすいし逃げやすい。

 

後はフツーの水草が育つ条件を整えてやれば、大抵の水草は育ちます。

グロッソとかヘアーグラスとかもよく育ちますよ。

 

なぜ、そう言えるのかと言うと、

私はチャームが生体を送ってくる時の発泡スチロールの箱を使って、外でメダカを飼ってるんですけど、これにはソイルが敷いてあって、いろいろ水草も入れているんですね。

ソイル厚め、水浅めで、外なので、光量は充分だし、風が吹いて水面を撫ぜればCO2が溶け込みやすくなります。

あと、うちではスイレン鉢も水深がかなり浅め...10数センチで、いろいろと水草を入れていますけど、ここでも大抵の水草は育ちます。

上をスイレンの浮葉に覆われたりすれば、グロッソはひょろひょろと立ち上がっちゃったりしますけど、暗くならなければちゃんと這います。

 

屋外のフィールドの水草を見て回った経験がある人ならわかると思いますけど、水草って種類にもよるけど湿地性のものって、止水で湧水とかも無ければ水深がごく浅いところに生えていますよね。 

水量に対して空気がよく触れているわけです。

 

最後にもうひとつ。

それは水草の密度です。

いくらCO2無しで水草が育つといっても限度があって、隅から隅まで成長力がある水草をびっしり植えていたりすると、CO2の供給が追いつきません。こういう場合はやっぱり強制添加じゃないとダメです。

 

自然界を探してそういう場所が無いかと言うと、あったりするのですけど、それは例えば、湧水がある場所とかですね。湧水は意外とCO2濃度が高い場合が多いんです。

あるいはよく空気と水が撹拌されるような流れがあるところにHCO3も積極的に使えるような種類の沈水性の水草が沢山生えているとか... ...

そんなケースですね。

 

最後に、もう一度、CO2添加が必要と言われている水草を、CO2添加無しで育てるとしたらどうすべきかを纏めるのなら、例えば、

  • とにかく浅くて広い水槽。(あるいはフツーの水槽に浅く水を張る)
  • エアレーションを行う。
  • 弱酸性に維持する。
  • 水草は少なめにする。
  • その他の光量や栄養などの水草が育つ条件を整える。 

こんなような条件が必要になると思います。

 

ついでにあともう一つ。

うちでは、メダカ箱でもスイレン鉢でもロタラの葉が、一度も水から出ていない部分も丸っこいんですよ。水槽の中のロタラらしい細長い葉ではなくて、水上葉そのものって見た目になります。

このあたりがどういう条件で切り替わっているのか...単純に水中にあるか否かってことじゃないのは確かですが... よく分かりません。

 

上記の条件で水草を育てても、「これじゃまるで水上葉」ってことになるかもしれませんね。ってことだけ言っておきたいなと思って。

 

メダカ稚魚育成箱

 

最後まで読んで、大抵の人は、そんな条件なら使えねーなーって思ったかもしれませんけど、

(温かい季節限定ですけど)外で割と簡単にCO2機材とか無しに、水中葉のまま水草をストックできると思えば、やってみても良いなとか思いませんか?

もっとも水中葉でストックすることが良いとは限らないんですけどね。

水中葉と水上葉

 

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