リセット時の前水槽点検

リセットを行う時は、特に中長期間維持された水槽であるならば、作り直す前の状態をよく点検しておきましょう。

次の水槽づくりに活かせる情報がいろいろ得られるはずです。


同じ水槽を使ってリセットする時は、何かと手早くやる必要がありますけど、それでも以下の項目だけでも簡単にチェックしておきましょう。


・ソイル

・根張り

・底床肥料


■ソイルの泥化・汚れ・嫌気化のチェック


ソイルの種類・水槽全体のバランス・管理スタイルなどによってソイルの寿命はかなり異なりますよね。

外から予めおおよその状態は分かるものですが、

ソイルとガラス面の間に藍藻が出ている・かなり厚みが違う場所があるなど状況によっては中の状態が想像できないこともあります。

リセットして実際に古いソイルを掻き出す時に、どこまで泥化していたのか?をチェックし記録に残しておくと、使っていた種類のソイルについての理解を深めることができ、今度のソイル選びの役に立つはずです。


ソイルを掻き出していく途中で、温泉卵のようなドブのような臭いがしたら…硫化水素の臭いが少しでもしたり、その場所がグレーのドブ色に見える場所があったとすれば、そこは嫌気域化していたということです。

嫌気域が出来ていたということは、そのソイル・管理方法で維持できる期間を超えていたということですね。もっと早くリセットすべきだったということです。


嫌気化は、ソイルの団粒構造が壊れて粉状になりソイルの粒の間を埋めて詰まる、汚れが詰まる、水圧で底床全体が圧縮されるなど、底床内の通水性が悪くなることで起きます。

これを防ぐためには、

・より寿命が長いソイルに変える

・ソイルを入れる厚さをより少なくする

・ソイルの下に軽石を敷く・底床供給器を入れるなどして、ソイルが潰れた粉などを落とせるように・水圧でソイルが押されてもソイル層全体が圧縮されにくくする

などの工夫をしていく必要があります。

これはリセット中の急な判断としては、ソイルの厚みを減らすか、次のリセット予定時期を前倒しにするしかないですね。…もちろん急いで準備できれば他の選択肢もありますけど。


ソイルの寿命は、以下の様な条件でも短くなったりします。

  • 掃除のしすぎ。
  • 水草の抜き差しのしすぎ。
  • カルシウムが極端に少ない。(GHが極端に低い)
  • 底床微生物の活動が貧弱。
    底床への炭素分の供給が極端に少なすぎる。
    ...例えば枯葉・残餌などに含まれる炭水化物など
  • 常に肥料不足の状態が続いていた。
  • 水草の根張りが悪い。 
    根はソイルを分解する面もありますが、底床内に酸素などを送り込んで嫌気化することを防ぐ側面もあります。
  • 極端に縦長で水圧が掛かる水槽はソイルが潰れやすくなります。
  • ...


■根張り


これは比較できる経験が無いとスグには役立てられないかもしれませんが、どの種類の水草がどのくらい健康な状態で根を張っていたかはチェックしておきましょう。

一見すると底床面から上は極めて健康的に見えても、実は根張りが悪くて不健康な状態というのはよくあります


ブリクサやサジタリア、クリプトコリネなどの底床内の栄養状態への依存度が高いものは、日頃の成長度合いなどを見ていてもある程度は想像が付きますが、

例えば、ロタラのような有茎草などは極端なケースではちょっと触っただけで抜けてしまうくらい根張りが悪くなっていても水の栄養が十分であれば、葉面吸収によって立派に育ったりします。もちろん本来のロタラは、ブリクサなどと比べれば弱いとは言え、本当に健康的に育てば何十本か纏めて茎を握って引き抜こうとしても、ある程度の範囲のソイルをまるごと巻き込んででないと引き抜けない…地面まるごと持ち上げる感じになるくらいは良く根張りします。


有茎草もよく根張りしていればトリミングを繰り返すことにも強くなりますし、トリミング後の新芽の出も良くなるし、「もう土台が弱り切っているな」と引き抜いて差し戻しをするようなことも少なくなります。


前景草もグロッソであれば健康的に根張りしていればランナーとも相まって、広い範囲の地面をまるごと持ち上げて引き剥がすという感じになりますが、根張りが悪いような状況だとごく狭い範囲ごとに持ち上がるような…ランナーは繋がってはいるけど…という感じになりますし、キューバニューラージパールグラスなどは根張りが悪いと、ほとんど力を入れなくても簡単にキレイに水草だけ剥がれて浮くような感じになります。


どんな水草がどのくらい根張りしていたのか?

これは水草の種類と、底床内の泥化状況などと底床内の栄養状態などで決まります。

比較的泥化に強い水草(ex.サジタリアなど)ばかりが根張りしていたのか?

比較的底床内の栄養の要求が大きい水草が根張りしていたのか?

もっと全体的に根張りが良かったのか?悪かったのか?

これらを覚えておいて、次の底床肥料の仕込みやソイルの選択・敷き方などに活かしましょう。


施肥関連では、根張りと特に関係が深いのは、カルシウムカリウムと言われています。

これはどちらも比較的流亡しやすいものなので、水換えの頻度・量が多めならそれだけ施肥する量を増やす必要がありますし、またカルシウムは水換えに使う水のGHだったり、水槽内に入れる石や砂などによって供給量が変わります。

もし抜いてみたら予想以上に根張りが悪い状況であったら、次はこれらを見なおしてみたほうが良いですよね。例えばカルシウムを意識的に添加してみつつ、ガラス面とソイルの間に見える根の状況を意識的に観察してみるとかですね。


■底床肥料の残存状態


底床肥料として仕込んだものがどのくらい消費されていたのか?どんな状態になっていたのか?は要チェックです。


底床肥料への依存度が特に高い水草を植える時に、その下の方にだけ、例えばアクアフローラ(おこし)とかをスポットで入れたりすることがありますよね。クリプトコリネとかは本当にアクアフローラが大好きって感じで、引き抜くと根が取り囲むようにアクアフローラを抱えた状態で出てきたりしますよね。

これをソイルと一緒に捨ててしまわないで、ちゃんと探して様子を見ると、どこまで水草が使っていたかが分かります。外の方はつぶつぶが残っているようでも潰してみると中が空だったりしますが、芯の方にはまだ使い切れてなくて、潰すと中から肥料が出てくる粒が残っていたりします。アクアフローラはよく半年持たせる用とか言いますけど、それはやっぱり育成条件次第です。自分の水槽環境ではどのくらいの期間でどこまで消費されるのかは知っておいて損はないですよね。


また腐葉土などを仕込んだ時は、どのくらいそれが分解されているのかをチェックしておきたいですよね。どの程度の熟度の腐葉土をどのくらい仕込んだら良いかは、リクツはあっても結局は勘に頼るしか無いわけですが、経験の蓄積があれば次の仕込み具合を決める上で役立ちます。


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