立ち上げ期間とは?

「立ちあげ期間」をどう捉えるか?
これはもちろん考え方次第ですけど、一般には「ある程度安全な」...魚が死んだり病気になったりしにくくて、一定の管理さえしていればコケも酷いことになりにくいと言える状態にまで至ったら立ちあげ期間終了ということになっていると思います。

 

でも、他のページでも書いているように60cm水槽に成長力のある有茎草を最初から400本以上とか植えて高成長させて、魚の数がとても少なかったら、最初から水中に溶け出す窒素分の処理は問題ない...水草が吸っちゃいますから、アンモニアやNO2が原因で魚が死ぬなんてことはありませんし、コケも殆ど出なかったりしますから、立ちあげ期間はほぼ0日ということになりますね。...少しは根張りして全開で活動を始めるには1週間はかかりますけど。

 

また殆ど水換えの必要もない...(トリミングはともかく、他のことは)放っておいても緑藻も出ない、魚も一切体調を崩すこと無く極めて元気で色艶良い状態。極めて安定している!...なんていう状況に至るまでには大抵は半年くらいはかかるハズです。

 

どちらも極端ですけど、もう少し一般的には硝化バクテリアがこれ以上増えることが出来ないというくらい充分に増えた状態に至るまで...完全な新規立ちあげでおよそ1ヶ月半くらいという考え方や、NO2が検出されなくなりNO3の濃度が高まっていくタイミング...完全な新規立ちあげでおよそ2-3週間くらいというのもありますね。

もちろんこれは前述のような大量の有茎草を使う場合では普通の試薬測定でNO2やNO3を検出できるタイミング自体がそもそも無いので、もっとずっと水草が少ない場合の話ですけど。

 

私としては、立ちあげ期間は、大量の有茎草を植えている場合でも1ヶ月ちょっと〜数ヶ月と捉えています。

なぜなら水草によって窒素処理が出来ていればある程度安定した水槽と言えるのかいうと、それは違うんですね。

なぜなら、有茎草を高成長させていれば、2週間もすればかなりの量をトリミングしなきゃいけなくなりますよね。

でも、そうすると水草が担っている窒素処理の能力がいっきい失われる。

安定した水槽なら、失った窒素処理能力の分だけ硝化バクテリアの量が素早く増えて数日でまた安定を取り戻します。

でも、最初から大量の有茎草を植えている水槽では、それだからこそ硝化バクテリアの充実が遅れている...水中のアンモニアがもともと少ないので増えにくい...ので、大量トリミングで一気に不安定になるんです。

 

また、先に「アンモニアやNO2が原因では死なない」と書きましたけど、病気になりやすいか否かとかまで言うと、やっぱり安定はスグに来ないんです。

硝化バクテリアなどの各種の有益なバクテリアがバランス良く水槽内に充満していている状態は、例えるなら乳酸菌などの有益なバクテリアが腸内に充満していて悪質な大腸菌などが爆発的に増えたりする余地がない状態に似ています。

バクテリアの(さらにはその他各種微生物の)総量が少なくてニッチがたっぷり空いている時というのは、何かのきっかけで何かの菌が...例えば病原菌が、あるいは有機栄養バクテリアが、爆発的に増える余地があるということなんですね。

人間だって腸内バクテリアを一気に殺してしまったら、とたんに病気になりやすくなるわけですけど、それと同じ状態ですね。

 

結局のところ、大量の有茎草を植えていても硝化バクテリアがやっぱり大事ってことですね。

さらには、糞や枯葉などの各種の廃棄物の分解に対応した各種の有機栄養バクテリアや菌類(フンギ)、各種の底生微生物などが、バランス良く増えて、水槽内のあらゆるニッチ(生態的な隙間)を埋めていくのには、約半年かかるということですね。

 

つまり、私が「高回転型」と呼んでいる大量の有茎草を使うやり方は、

  • 大きなリスク(コケの激増や魚の死)は最初から避けられるけど
  • 成熟には時間がかかる...キケンを回避しつつ着実にゆっくり進んでいく

ということです。

 

例えば、立ちあげの初期に珪藻が急増する時期ってありますよね?大抵は立ちあげから1ヶ月半以内に起きることが多いと思いますけど、あれが3ヶ月後とかにやってきたりすることもあるんですよね。それまで殆ど全くコケが出てないのに。

もちろん珪藻は、ちゃんとしてれば全く怖くないコケで、刷毛でさっとなぞっただけで取れるし、エビなどは大好物にしているコケだし、一定の時間が経てばウソのように消えちゃうコケですけど。


そんなこんなも合わせていろいろ考えると、立ちあげ期間としてある程度気をつけて管理しなければいけないのが、約1ヶ月〜数ヶ月ということです。

期間は長いかもしれないけど、これはあくまでも「ある程度気をつけて」ということで、いずれにしても水草の少ない水槽の立ち上げより「高回転型」の立ちあげのほうが、立ちあげ期の管理は遥かに楽だと思いますよ。

もちろん、水槽環境は千差万別・複雑系だから、なんの保証も出来ないですけど。

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