底床供給器

「底床供給器」と私が呼んでいるものは、

  • 底床内に空洞をつくり
  • そこに水槽外から、様々なもの...液肥などを送り込めるチューブがついた

だけのとても簡単な構造のものです。

 

目的は、

  • 底床内の栄養分はいずれ切れていく、その時にソイルをいじらずに底床最奥に肥料...特に窒素液肥を送り込むことを可能にする。特にアンモニア態窒素は毒性が高いので時間をかけて出てくるようにする。ソイルの陽イオン交換能がアンモニア態窒素を一旦ソイルに吸着する。
  • 底床内の嫌気化を防ぐ。...必要があれば酸素濃度が高い水槽水を送り込んで酸素供給したり、鉄剤を送り込んで硫化水素の発生を防いだりする。
  • 底床内に腐植質を送り込む。...ソイルの団粒構造が壊れていく理由は様々なものがあるが、腐植質が失われていくことも理由の一つであるはず。
  • カリ液肥なども含めて様々な添加物による水質の変動が緩やかに進むようにする。

 

構造は、

  • 適当なサイズの空洞をつくる構造...うちの場合は100円ショップで売っているトゲトゲのネコよけマット...を用意。
    水圧に耐えるもの・水槽内で劣化しにくいもの・生体などに影響がある物質が溶出しそうもないもの であれば、なんでもあり。
  • この上にソイルが落ちてこないように、プランターの鉢底に敷くネットを置く。
  • この空間の中に、水槽の外から液体を送り込める適当なチューブを取り付ける。
    うちの場合はCO2用の3mm耐圧チューブ→水槽外に出す最後のところだけエアチューブ。
    最後のところがエアチューブになっていることでシリンジを簡単に接続できるようになります。
  • 実際に水槽に設置する時には、周囲をパミス(軽石)で覆って沈め、その上にソイルを入れる。
    以下の写真は設置途中。さらに上からパミスを撒く。

  • 水槽外に出しているチューブの最後のところは、必ず普段は水面より上の位置で固定できるようにしておく
    あるいは、パイプの途中に逆止弁を付けて水がチューブ内を這い上がって水槽外に漏れることがないように気をつける。
    逆止弁を付けていても、腐葉土エキスのような粉を含んだものを送り込むんだりすると逆止弁が気がつかないうちに壊れることもあるので、万が一チューブから水槽水が逆流しても水槽内に戻るようにしておくこと。つまり水槽の上空にパイプの出口を固定できるよう工夫する。これを守らないとサイフォンの原理で水槽水が外に溢れることがあります。

 

使い方は、

  • 水槽外に出ているパイプにシリンジを接続して、液肥や水槽水などを必要に応じて送り込む。

最大の欠点というか注意点

2014年8月21日

これは私自身の大失敗を踏まえたものです。

大失敗って何かと言うと、底床供給器を使ってマメに肥料添加してたんですが、ちょっとボケてしまって、気がついたらかなりpH低めの自作の鉄液肥と自作の窒素液肥を短期間にかなり大量に入れちゃったことがあるんですね。...入れたことを忘れてまた入れるみたいなことをやってしまった。底床内はかなりの低pHになっていたはずです。

適切なスケジュールを考えないで(ほんとちょっとボケてて)、リンを含む液肥も近いタイミングで入れているからリン酸鉄もできちゃってたハズです。

それでどうなったかというと、前景草が分厚くなっていたのだけど、その深いところを這いまくっていたニューラージパールグラスをかなり一気にダメにしちゃって... ...

きっと底床内の微生物もかなりダメにしているのじゃないかと思います。

 

こういう失敗をした時に、底床内に肥料を突っ込んでいるのでなければ...通常の液肥添加なら水換えすれば最悪の事態は避けられますよね。

底床供給器でも少しは吸い出しもできるのだけど限界があります。...というか、前述の大失敗時には問題が起きていることに気がつくのが遅かったので吸い出してもどうしようもなかったんですけど。

 

底床供給器を使ってこういう失敗をやると、根や底の方から...つまり土台から痛めちゃうんですよね。
底の方の傷みには気がつくのが遅くなりがち=対応も遅くなりがち。

 

つまり、即効性が高い液肥を、後から修正が効きにくい底床最奥に入れちゃうって点で、キチンと管理してないと大失敗しちゃう可能性が高くなるってことです。

 

ちゃんと管理さえできていれば、底床供給器はものすごく便利なんですけどね。


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追記。


以前は、

肥料はできるだけ底床に入れたほうが、水質の変化が緩やかになるだろう...なんて考えて、いろいろな肥料を底床供給器に入れていたのだけど、

最近は、底床供給器に入れているのは、結果的に窒素系の液肥だけです。

何故かと言うと、

  • カリウム系やCaMg系、腐植酸やクエン酸を使ったものなどは底床内のpHを大きく変動させる可能性が高い。...狭いところに入れるわけだし。
  • 現在主に使っている尿素水などはpHが中性に近く、底床内のpHを大きく変化させない。
  • 窒素系はやっぱり底床に入れたい。


底床内のpHを揺さぶるようなことは出来る限り避けるべきだろう...底床微生物にも大きな影響を与えかねないし、水草の根にもストレスになるのではないか?

って考え方ですね。

なので、カリウム系とかCaMgとかは水槽の上から直接入れています。


コメント: 2
  • #2

    管理人 (木曜日, 28 9月 2017 13:21)

    zawaさんこんにちは。

    チューブに溜まった空気は底床内に送り込んでしまっています。
    チューブ内にシリンジで肥料を送る→最後はチューブ内の水面の高さのところまで勝手に肥料が引き込まれる→次に肥料を送る時に水面の高さから上の分の空気を送り込むことになる。
    ってことなので、空気を入れすぎたくなければ、水面から上に出すチューブを短めにするしかないですね。
    私としては、仰るとおり、底床内の嫌気化を防げるので良いと思っているくらいです。実際これ何年もやってますが底床内のどこかが嫌気化したことはないです。
    ただ、たまに底床にピンセットを刺したときなどに大量に空気が抜けてくることがあったりするので、必要以上に空気溜まりが出来てしまっているのかもしれません。

    肥料の行き渡りですが、偏りはありそうです。
    パイプを底床供給器内で分岐したりしていなくて、ただ吹き出しで底床中を巡るようにしているのですが、やっぱり吹き出し口から距離があるところと吹き出し口付近では肥料の効きが違うという印象はあります。
    窒素添加とかすると吹き出し口付近のものがやたらと育ったり、手前の角とかは殆ど効いていないように見えたり。
    ただ、低床供給器の横や上に厚めにパミスを敷いているのですが、パミスがある範囲にはある程度肥料は行っているようです。

    そんな感じです。

  • #1

    zawa (木曜日, 28 9月 2017 09:51)

    こんにちは
    この記事にとても興味が湧いて僕もこれをやってみたいと考えているのですが、疑問があったので質問させて下さい。

    ・チューブの中に溜まった空気はどうしてますか?
    酸素の供給だと思ってそのまま送り込む?

    ・どの程度肥料分が行き渡ると考えていますか?
    底床は前後で厚みが違ったりするので、偏りがおきないかどうか。

    よかったらお考え、あるいは実体験を聞かせて頂けると嬉しいです。