頂芽の萎縮・縮れ

以下については、メカニズムなどをキチンと理解して書いているわけではありません。

あくまでも私の経験的なものでしかないので、常にこうなるかどうか...そもそも原因について勘違いしていることもあるかもしれません。

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水草の頂芽が萎縮・縮れたようになって成長をとめてしまうことがありますよね。

 

これには大別して2つの原因があると思っています。

  1. 根本的に窒素・リンなどの肥料分が足りない。あるいは光量やCO2が足りない。
  2. カリウム・カルシウムの(もしかしたらマグネシウムも)のどれかの量・またはバランスに問題がある。塩基バランス問題。または水質の急激な変化。

1の「根本的に窒素・リンなどの肥料分が足りない」というのは、ベトナムゴマノハグサとかブリクサヴィエティとかの窒素やリンが比較的豊富な環境を好む「肥料分がぶ飲み」の水草で出やすいパターンですね。

これは頂芽が萎縮しているというより、頂芽が充分に成長できなくなっているということで、そのうちに草体全体が萎縮・元気を無くしてきます。また、水槽内の同じ種類の水草が(光量や根本の肥料分などの条件の違いなどがなければ)一斉に同じように萎縮してきます。

これは分かりやすいですよね。

 

このパターンと違って、もうちょっと分かりにくいのが、ロタラインディカとかで、何故か一本だけとか成長点が萎縮し縮れたようになってしまうパターンのものです。1本だけとかで無くて、もう少し全体的に出ることもあります。

これは、1の場合と違って、頂芽だけが著しく元気を無くします。でもって、葉が小さくなるというより縮れたような状態になったりします。

 

この状態は、前述の2のパターンですね。

以下の様な条件で起きやすいと思っています。

  • カリウム肥料を入れすぎた。
  • KHやGHが大きく変化した。
  • その他急激な水質変化があった。
    ...ピートモスを入れすぎて急激なpH低下を起こしたとか、大きな水温変化を起こしてしまったとか...。
  • 他の水槽から水中葉を持ってきて差し戻しした。
    (同じ水槽内での差し戻しでも出ることがある)
  • 水上葉が水中葉に転換している途中で、カットして差し戻しした。
  • ...

私としては、きっとカルシウムが大きく関係しているのだろうと想像しています。カリウムはカルシウムと拮抗関係にあるし。

 

もちろん頂芽の形成には、ほとんど全ての必須元素が関係しているので...例えばリンは決定的に重要だし...、そんなに単純じゃー無いのだろうけど、でも、「足りなければ、下葉を枯らしてでも調達してくる元素」と、そうでない植物体内での元素の移動...やりくりが難しいものがあります。

カルシウムは後者で、植物体内でのやりくりが難しい。

だから頂芽に影響が出やすいのだと思っています。

 

ちなみに、ネット上では「カリウム過剰」がこういうパターンの頂芽の萎縮・縮れを起こす原因としているところが多いですね。

これは、カリウムがカルシウムと拮抗関係にあることを考えれば納得です。

カリウムの過剰がカルシウムの吸収を阻害しているわけです。

...いや、順番が逆か。

「カリウム過剰が原因になりやすい」っていうみんなの知見があるからこそ、その他の情況証拠も合わせて「カルシウムが原因なんじゃないか?」って推測しているわけです。

 

ちなみにカリウムはカルシウムと違って、かなり容易に植物体内を移動する元素で、頂芽や根端で足りなければ古い組織から調達されるので、ちょっとくらいの不足が直ちに成長点に影響するってことは無いんですよね。(だからカリウム不足はまずは下葉から出てくる)

 

では、こういう症状が出てきた時にどうするかですが、

 

先述の1のパターンなら、施肥を行うしか無いですね。

 

2のパターンの場合は、私の場合は、基本的には頂芽を切っちゃうだけです。

頂芽を切っちゃえば、たいていは側芽がフツーに成長を始めてくれます。

いったん萎縮・縮れた頂芽は、もうまともな成長軌道に戻ることは無いですね。だから、さっさと切っちゃう。

水質によっぽど問題がなければ、水草の方が適応してきてくれます。

カリウム過剰なども、しばらく施肥をとめて水草全体に消費させて行ったり、フツーに水換えなどを行えばカルシウムの供給も行われますし。(KH・GHがゼロの水ならダメだけど...いくら軟水傾向の国内の水でもそういうケースは殆どないでしょ?)

 

問題は「よっぽど問題」があった場合ですよね。

いっきにKHを変動させすぎたとか、とんでもない量のカリウムを入れたとか。

これは、とにかく水換えをするなり、水質変動を起こしているものを取り除くとかするしかないですよね。

実は、私自身としては、こういうケースは経験が無い...頂芽切って放置してれば治るってケースしか経験していないんですけど。

 

もしかしたら、1と2の複合的な症状の場合もあるかもしれませんね。

そういう場合は、足りない栄養分、多すぎる栄養分を丁寧に把握していって対応するしかないですよね。

私なら、それまで元気に育っていたのに、徐々にそうなっていったとするなら...でもって、頂芽を切っても元気を無くす一方・水槽が全体的に成長が遅くなってきている・葉が小さくなってきている... ...という状態なら、まずは窒素やリンの不足を疑って、特に問題が起きているところにスポット的に窒素リンを含む液肥を注射してみます。

追記。

塩基バランス問題への対応については、カリウムを減らすパターンとは別に、状況(慢性的に極度に低いGHになっているなど)によってはカルシウム・マグネシウムを積極的に足すという方向もあります。

こちらについては現在実験中です。

CaMg液肥

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