ミジンコ育成

 

やっぱり活き餌は、魚の喜び方が違いますよね。エサをあげると大興奮。でもって機敏に追いかける。そういう魚の姿を見るのは楽しいです。

 

それと、こことかでも書きましたけど、ミジンコは(特に魚に食べられにくいカイミジンコは)極小のエビのように機能して、狭いところに入っていってデトリタスを食べたりもしますし。

居てくれると嬉しい存在です。

...もっとも魚が多いとなかなか水槽内で生き延びるのは困難ですけど。

 

そんなようなこともあって、最近はミジンコを育成しています。

ミジンコを増やし続けて、エサにし続けるのは意外と...すごく簡単です。

室内の小さなプラケで1年中 簡単に増え続けてくれます。

 

1.ミジンコを見つけてくる。

ミジンコは真夏や真冬以外なら割と簡単に見つけられます。

田んぼ、小魚が居ない公園の池の縁、河原の水溜り... などを覗けば、割と簡単に見つけられます。

真夏や真冬でも、暑すぎない・寒すぎない場所があれば、意外と元気に泳いでいたりもします。

何本かペットボトルを空にして洗ったものをもって出かけましょう。
できれば、コップとかもあったほうが良いですね。

コップでミジンコが居るところの水をすくって、ペットボトルに入れて持ち帰ってくるだけ。

ペットボトルには、いっぱいいっぱいに水を入れないで、半分くらいにしましょう。空気がある程度入っていれば、完全にキャップを閉めても1日くらいは大丈夫です。
ミジンコを入れたペットボトルだけじゃなくて、ついでに(育成用に用意するプラケのサイズに応じて)現地の水はペットボトル何本分か余裕をもって持って帰ってきましょう。

 

2.育成槽(プラケ)を用意する。

適当なサイズのプラケを用意します。

沢山育てたいなら大きめ、そうでもないなら小さめ。

私が使っているのは、虫カゴ用に売ってるような よくあるサイズの小さめのものです。このサイズだと、例えば60cm規格水槽に小型のカラシンが40匹とかという数の魚にミジンコだけ給餌できるくらいミジンコを育てることはできません。人工餌2/3、ミジンコ1/3って程度です。...でも、ミジンコだけ給餌ってのもバランスが悪そうに思えるし、このくらいで良いと思ってますが。

殆どミジンコだけで給餌するつもりなら20cm水槽以上必要だと思います。

容器の形は、酸素供給を考えたら、水量に対して水面が大きいもののほうが失敗は少ないと思います。つまり浅くて広めのものですね。

これにソイルを適当な量入れます。廃ソイルで十分です。もちろん新品でも良いですけど。底から1cm弱くらいあれば十分です。もっと少なくても大丈夫。むしろ多すぎると、エアレでもしていれば別ですが、水の動きがないプラケ内だと嫌気化しやすい(硫化水素とか出て来やすくなる)ので、ソイルはひくなら ごく薄くひくことが大事です。

ソイルがなければならないわけではないのですが、後でもし 面倒になって止めたくなった時にソイルを入れておくと良いんです。(後述)

ソイルを入れたプラケに、ミジンコが入っているペットボトルの水を入れます。水が足りなければ、現地で取ってきた水をさらに足します。

ついでに、落ち葉とかも入れておくとさらに良いですね。
無くても良いのですけど。(これも理由は後述)

これをどこか室内に置くわけですが、1年中人が居る部屋なら大丈夫です。そういう部屋は、室温が15度〜30度くらいに収まりますよね?そのくらいなら大丈夫っていうわけです。

人が居ない部屋だと、これより暑くなったり寒くなったりすることもあるかもしれませんが、そういうところだと若干難しくなるかもしれません。

真冬と真夏以外なら、屋外でも大丈夫...屋外のほうが良いです。

真冬でも地域に依るでしょうけど、氷が張らないような地域なら、

発泡スチロールのケースにソイルと水を入れて、上をガラスやラップで塞いで日当たりの良いところに置いておくとか、
夏なら蓋なしで風通しが良い日陰に置いておくとかでも大丈夫です。

後は注意点としては、ミジンコ育成槽を置いた部屋で殺虫剤を撒かないこと。これはエビと同じです。ミジンコも甲殻類。

 

3.ミジンコにあげるエサ。

私はドライイーストを使っています。

よくミジンコを育てるのに鶏糞とか書いてありますが、ちょっとそれは室内だとキツイですよね。臭いとか考えたらあり得ない。

ドライイーストがいちばん簡単なんじゃないでしょうか。

大抵のスーパーで売っているし。

私は、スーパーカメリヤ ドライイースト(酵母) を使っています。250円くらい。一箱買えば当分使えます。ミジンコを育てる量にもよるだろうけど、わたしみたいに小さなプラケだと1シーズンじゃとても使い切れないくらい。

私の場合、ドライイーストの粉を水槽水でよく溶いたものをミジンコ槽に入れます。

R-1とかのドリンクヨーグルトの小さなペットボトルに耳かき何倍分かって感じで適当な量のイーストを入れて、水槽水を入れて、蓋をしてよくシェイク。このミルク色の液体を、ミジンコ槽に入れるわけです。

入れる量は、ミジンコの数にも依るんですけど、ひとまずはミジンコ槽の水がうっすら白濁するくらいですね。

しばらく...半日とか1日とかすると水が透き通ってきます。
そうしたら、またイーストを溶いた水を入れる...この繰り返しです。

まー量は適当。おおよそ・なんとなくで大丈夫です。

めんどくさかったら、1日1回でも良いのですけど、間が開き過ぎるとミジンコは簡単に餓死します。

そこで、枯葉とかを入れておきたいんですよね。

炭素源やさらには窒素源などになるものがあれば、酵母はある程度増え続けますから。

もちろん、きな粉とかそんなのでも良いですけど。

ちなみに私は、未熟な腐葉土を入れています。

一時しのぎなら砂糖をパラパラってちょと入れるだけ...炭素源だけでも酵母は増えます。

 

4.管理。魚のエサにする。

ミジンコは単為生殖(ペアが必要ない)で加速度的に増えていきます。

最初はごくゆっくり...耐久卵の孵化(後述)から始めたとしたら、最初に孵化したヤツが産卵を始めるのが5日目くらいから。

その後は、2日に一度くらいづつ、成長段階によって5〜20匹くらいを一度に生む。

生まれた子どもがまた5日も立てば子どもを産み始めるので...

エサを与え続けてミジンコを取らなければ、2週間後くらいには数千匹単位、3週間後くらいには数万匹単位になるっていう計算になりますね。

もちろん小さなプラケでこんなに増えたら、簡単に酸素不足になって死んじゃうのであり得ないですし、もし強制的に酸素添加していたとしても給餌が追いつきません。

増やし過ぎると酸素不足で全滅する って覚えておいてください。

なので、ある程度以上増えたら、せっせと捕まえて魚にあげちゃいましょう。

捕まえ方は、私の場合は、大きめのベロペット...でっかいスポイトで吸いだして、魚にあげる。です。

汚い(富栄養化した)ミジンコ槽の水を、魚のいる水槽に入れたくはない!という人は、

ベロペットと小さな目の細かい網を用意して、

ベロペットで吸いだしたものを、ミジンコ槽の上に置いた網に出せば、水はミジンコ槽に帰るし、ミジンコだけが網に残るので、これを魚にやれば良いですよね。
網で直接掬っても良いですけど、それだと取れ過ぎちゃうだろうし。

ベロペットで直接あげていると、そうでなくても自然蒸発で、ミジンコ槽の水が減っていきます。

足し水は、当たり前ですが塩素入りの水道水じゃだめです。

塩素を抜いた水か、できれば魚がいる水槽の水をベロペットでちょこっと足しましょう。

それとある程度の期間維持していると、ミジンコは主に水中に浮遊しているエサを食べるし、食べきれなかった分は沈殿して底に溜まっていくしで、著しく汚れてきます。なのでたまには掃除をしましょう。フツーの水槽と同じですね。

ベロペットをプロホース代わりの感じにして、底の汚れを吸い出して、吸いだした分だけ足し水をする。それだけです。

あまり掃除を頑張って結果的に水換え量が多すぎるとミジンコにダメージを与えるので、吸い出す水は多くても1/4くらいにしておきましょう。

 

5.容易に再開可能な形で中断する。

これまで書いてきたとおり、ミジンコ育成はすごく簡単だとは思いますけど、なんらかの理由でイヤになって止めたいってこともあるでしょう。

そういう時は、ミジンコ槽をそのまま放置するだけです。

エサを与えず、水が蒸発するままに任せる。

外の風通しがよいところに置いておくと、割と早く水がなくなりますよね。

エサがなくなったり・水がなくなったり・過密になりすぎたり...と環境が悪化すると、ミジンコは耐久卵をつくります。

観察していると、ミジンコが黒っぽくなるので分かります。これは耐久卵が黒っぽいからですね。

後は、耐久卵が産み落とされたソイルを取っておけば良いだけ。

これがどれだけ持つのか?いろいろ見ていると数年って説が多いですけど、少なくとも1年は間違いなく持ちます(環境を整えれば耐久卵が孵化します)。

なぜそう言えるのかと言うと、今育てているのは以前に飼っていたミジンコに飽きて放置した時のソイルを使って耐久卵を孵化させたものだから。

 

その他 ミジンコの楽しみとか

  

ミジンコ

ミジンコは、ハンディマイクロスコープで簡単に観察できます。

接眼レンズにスマホのレンズを近づければ撮影もできるし。

 

ミジンコ(微塵子)と呼ばれるものには、かなり広い範囲の生き物が含まれます。...全部 甲殻類ですけど。

いわゆるミジンコ、カイミジンコ、ケンミジンコに、時にはカイアシ類などもミジンコと呼んだりもしますよね。

魚が喜んでよく食べるのは、いわゆるミジンコです。

 

これもかなりいろいろ種類があるのですけど、顕微鏡で覗いて、何が発生しているのかな?とか見てみるのも楽しみの一つです。

 

カイミジンコは、よく見ると小さな貝殻のような形をした...白くて小さな米粒のようにも見える奴です。

これも魚が追いかけて食いつきますけど、吐き出したりすることも多くて、割と魚がいる水槽でも生き残りやすいですね。

それでも中層・上層を泳ぐヤツは結局食べられちゃいますけど。

水草の間に入り込むようなヤツ、魚が活動している明るいうちは底のほうでじっと隠れているってヤツが生き残るってくらいです。

ミジンコは、エビのように雑食性でデトリタスを食べてくれる上に、エビでは入っていけない狭いところにも入っていけるので、生き残って欲しいのですけど。

...もっとも、ミナミヌマエビがいつも繁殖しているようなら、ミナミヌマエビの稚エビも似たような活躍をしてくれますけど。

 

そうそう、ミジンコが大量に湧いてくるような水槽は、じきにダメになる...とかって言われることがありますよね?

そりゃそうです。

ミジンコが大量に湧くってことは、相当に栄養豊富な状態になってしまっています。そりゃーヤバイでしょ。

 

逆に、ミジンコが出始めるようなら、水槽が良い状態に出来てきた証拠っていう言い方もありますよね。

これも正しいですね。

ミジンコが出てくるということは、ミジンコが食べるようなサイズの微生物が沢山居るということで、これは水槽内の重要な分解者です。

つまりは、水槽の中の生態系が完成しつつあるってことですね。

 

 

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