田植えをしない簡単な前景の作り方

セット直後

 

2週目 

 

4週目

 

最初に拡大して見ると最初に持ち込んでいるグロッソの量は、せいぜい2カップ分くらいしかないというのが分かると思います。 残りはキューバとかですね。
その後キューバは環境変化(pH急低下)に負けてかなり枯れちゃってて、約1ヶ月で殆どグロッソだけで前景を覆い尽くしているのが分かると思います。
この後キューバは復活しましたが。

 

以下は、2013年3月25日のブログ記事の転載です。

 

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これ(上記の写真の一番上)この水槽のセット時の前景。2ヵ月前の姿。


前の水槽から引剥がしてきた前景をシート上のまま適当に置いているだけ。

このくらいの割合でシートを置いておけば、1ヶ月くらいで、完全に前景が葉っぱで埋め尽くされソイルが上から見えないようになる。
もちろん環境によるけど。この水槽では1ヵ月かからないで前景を埋め尽くせた。

丁寧に田植えしたほうが綺麗にできるけど、ある程度育っちゃえば同じだし、こっちの方が遥かに早くできるしね。
それに何より田植えは腰が痛くなる。

やり方は簡単で、前の水槽の前景をベリベリと気持ちよ~く引剥がして、適当なサイズのシートにカット。
根を少し短めに切って、ソイルに少し埋めちゃうくらいの感じで、新しい水槽に置いていくだけ。

もし、この時に浮いちゃうようなら、上から3-4mmくらいの小石というか荒目の川砂をばらまいて沈めたり、田砂をまぶして沈めればいい。
ある程度、シートに土が残っているなら、田砂。じゃなきゃ小石かな。
1週間もすれば根づくので、その後、砂ならプロホースとかで吸えば殆ど取れるしね。

前の水槽のを持ち込むのではなくて、新しい水草を入れるなら…結局は、チャームで売ってるキューバのシートとか、あるいは佗び草とかを並べるとかしかないのかもね。
でも、高い佗び草買うくらいなら、例えばグロッソの安いプリンカップを幾つか買ってきて、下のほうがあまり傷んでたりするなら別だけど、そうでないなら、適当に下の方を切って、適当な密度になるように横にゆっくりほぐしながら広げて、小石やソイルまぶして挟んでそのままソイルに埋めちゃえばいい。
もちろん、余計な厚みになるところは、植えてから思いっきりカット。
充分にカットしてしまうと、白っぽいところしか残らないかもしれないけど、大丈夫。ここが腐ってなきゃスグに新しい綺麗な葉っぱを出すようになるから。
カットした綺麗な新芽のところは、周囲に田植えしておけばいい。
但し、特にグロッソだけど、水上葉を大量に入れると、当然、水中葉に転換する過程で痛む葉は多くなるから、ある程度育った時に、下のほうが枯葉だらけになりやすい。当然黒ヒゲとかも出やすくなるハズってのもあります。なので、このやり方は出来るだけ水中葉でやるべきです。キューバならそれほど気にする必要はないけど。痛んだ葉が出てもエビが食っちゃうし。
もっともグロッソの枯葉だけど、いずれ3-4ヶ月もして、ちょっと厚みがつくのを放置してれば同じことになるんだけどね。だから気にしないって考え方もある。マメに古い葉をカットするとかね。
それにだいたいADAの佗び草だって水上葉だしね。まーあんまり気にしないで良いとは思うけど念のため。

ちなみに水上葉には水上葉の利点もあって、水中葉よりも水上葉の方がずっと頑丈なんですよね。

なので、たとえばラミーノーズのような草食性が強い魚が居ても・腹をすかせたヤマトヌマエビが居ても水中葉を入れるよりずっとやられちゃう可能性が低くなるんです。

それと特にキューバとかのことだけど、水中葉の方が一般に新しい水槽への適応は早いわけですが、そもそも不適な環境...キューバだと低pH,GHとかの時にどっちのほうが持ちこたえてくれるかと言えば、やっぱり圧倒的に水上葉です。なんでも水中葉で入れるのが良いとは限らないよということですね。


このやり方は、イージーにできるっていうメリットだけじゃなくて、水草をある程度まとめ植えしてやったほうが定着させやすい・失敗しにくいってのもある。
グロッソで失敗するってのはあまりないだろうし、あるとしたら余程ソイルに栄養がないとか、余程光量が足りないとか、CO2入れてないとかだと思うけど、
キューバとかだと、ソイルでpH、硬度低すぎだったりすると、1本1本小分けして田植えしてたりすると全部弱って全滅なんてこともある。
でも、ある程度まとめ植えすると、最初の水質適応時期の危機を乗り切りやすかったりする。
キューバの場合は特に硬度を要求するので、砂をまぶして沈めちゃうのも有効だしね。

上手くやるコツとしては、とにかく最初にシートを並べる時に、半分埋めるくらいにすること。上からソイルをかけちゃうくらいでいい。
周囲のソイルとあまり大きな高低差をつくらないこと。
あまりに凸凹が大きくなると、水回りに差が出ちゃって、出っ張ったところはやたらと成長して、凹んだところへの展開が遅れがちになるから。

水槽に水を入れる前に、充分に湿らせたソイルにシートを並べたら、さらに上からソイルをたっぷり撒いて、表面が平らになるくらい=シートの上面の高さと周囲のソイルの高さがおなじになるくらいにしてしまう。

その後の注水は、そっとやらないと、水流で前景シートが浮き上がったりするので注意。
最初の1週間くらいは、水換えも注意だね。
それから、水流も前景に吹きつけるようにしないほうがいい。
そうしたい時は、キチンと根付いたのを確認してから、排水口の向きを変えよう。

リセット時に前の水槽の前景をシート状にしてまるごと持ち込むのは、「簡単」という以上のメリットもある。
硝化バクテリアは濾材だけでなく、よく水が動いて酸素があって取り付ける表面があれば、そこには大量に繁殖している。
つまり、前景のシートには大量の濾過バクテリアがいるということで、これを持ち込むことになるわけだ。
つまり、それだけ再立ち上げをスムースにしてくれる。
もちろん前の水槽から汚泥も一緒に持ち込むことになるけど、たいした量にはならないし、どうしても気になるなら水槽水で...前の水槽から引き上げる時に、さっと洗っておけばいい。これだけで殆ど落ちちゃうよ。
もちろんバクテリアも洗っちゃうわけだけど、少し残ってるだけで、それだけで随分違うから。

もちろん、リセットの原因がソイルの寿命とかでなく、コケに負けたなんてことだとしたら、前のものをまるごと持ち込むのはしたくはないだろうけどね。

「前の環境からコケや病原菌を持ち込みたくないから、塩素とか木酢液などで徹底的に殺菌」とか書いてあるのを良く見かけたりするけど、正直あれがそれほど意味があることとは思えない。
すべて、どこにでも常在している連中なんだから。
いっくら殺菌消毒を頑張ったって、次の環境もバランスを崩していればやっぱり同じように失敗するだけだし、程度の問題はあるけど、少しくらいならコケとか持ち込んだって、次の環境が良ければ消えちゃうものだし。

だから、よっぽど前の状態が酷くない限りは問題ない。
問題があるなら、新しい環境そのものが問題なのだ。

むしろ、さっさと活動的な水草と硝化バクテリアを増やしたほうがいい。

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追記。

ところで、佗び草って、私自身は買ったこと無いのだけど、あれはスゴイよな...と思う。
水草水槽のモジュール化だものね。
アクアリウム...水草水槽関連のビジネスの在り方について、
かなり根本的に変える飛躍だと思うよ。
これ以前と以後では、(あくまでリクツとしてってことだけど)
ミニコンの時代とパソコンの時代の断層くらいの差があるんじゃないかとかさえ思う。
そんな捉え方をADAの人たちがしているのかどうかは分からないけど、
結果的には時代をつくるという点で、とてもセンスが良いのだよなと思う。
そんなものが無い今までどおりのアクアリウムビジネスの世界も良いけど、
やっぱりこういう試みをやっていかないと正しく発展して行かないよなと。

簡単田植えパターン

シートを置いていくのがいちばん簡単ですけど、まとめて田植えしちゃうってやり方もあります。
もちろん、しつこいですが、1本づつ植えたほうが面倒だけど、綺麗にはできていきますけどね。


■植栽時

以前の水槽から持ち込んだ前景草シートは、後景との境目に土留めとして入れています。
写真だと分かりにくいでしょうけど、かなりの傾斜がついているので。
前景草シートは予め底の方の傷んだところや長い根はカットしています。前景草シートは浮かないように爪楊枝でソイルに留めて、さらに上からソイルを被せてます。
前の方は、水上葉育成箱で育ててあったグロッソの水上葉をかなり纏めて...1束10本どころじゃないですね...束にして差し込んでいます。
さらにそこにソイルをかぶせています。
手前より奥のほうがまばらに見えるかもしれませんが、実際は奥のほうがずっと植え込みの量が多くて、手前のガラスに近いほどまばらに入れています。

■1週目

被せたソイルの間から新芽が出てきました。
この時期水上葉がどんどん傷んでいくので、できるだけマメに取ってやります

放置しておくと黒ヒゲとかの温床になります。

■2週目

だいたい前景が覆われましたね。

 

このやり方だと、グロッソの段数が増えてくる頃に、凸凹が目立つようになります。

グロッソの成長は、ソイルが同じで照明が同じなら、水流で変わりますから、最初に出っ張ったところはますます成長し、凹んでいるところは成長が遅くなりがちになります。

 

1ヶ月弱〜1ヶ月半くらいで、グロッソは2〜3段くらいになっていたりするので、低いところに合わせて、出っ張ったところを一度カットして、平らに整えましょう。

 

一度トリミングして水流が万遍なく当たるようになると凸凹が消えていきます。また葉がいったん一段小さくなって滑らかで密度感がある感じになります。

トリミング後の回復に10日くらいはかかるので、全部で1ヶ月ちょっと〜2ヶ月くらいで、滑らかな前景が出来上がりですね。

 

その後は、丁寧に植えたものも、こうやって手抜きでやったものも見た目は変わらないですよ。

 

 

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