立ち上げまでに準備しておくモノ・コト

2013.12.21

ここでは、

「それなりの水草水槽」を

「出来るだけ安全(コケ地獄や魚が死んだりすることを避ける)」に

「初めてアクアリウムをやってみる人」のことを意識して

書こうと思います。

 

ただ魚を飼いたい・水草もちょっとは欲しい...という感じなら、もっとずっと簡単なアプローチもあります。

 

 

 

実際に始める前に出来れば 安全な立ち上げのコツ は目を通しておいてください。

 

  • 水槽設置場所の決定
    • 水槽の重量に耐えられるしっかり安定した水平が取れている床。
      水をこぼすことがあっても少しなら大丈夫という床。
    • 外光などの光の管理がし易い場所。
      少なくとも直射日光が当たる場所は避けたほうが良い。
    • 重たいドアの近くとか低く強い音がしない場所。
      玄関近くとか。魚にとって大きなストレス源になる。
    • 水換えとかが便利な場所。
    • 電源の確保。
    • 小さな子供、ペットなどの安全。...水槽と子供などどちらにとっても安全であること。
    • 水槽の上に地震などで落下する可能性があるものが無い。何かが倒れてきて水槽を割る可能性が無い場所。
    • 暑くなり過ぎない・寒くなり過ぎない部屋。
      ...特に暑くなる部屋は水温対策が大変。
    • 家族の了解・理解。
  • レイアウトなどの基本的な計画
  • 水槽

よく言われることですが、30とか40cm水槽よりも、様々な点で60cm規格水槽の方が初心者には優しいと言えます。その理由をここではクドクド書きませんけど。

40cm規格水槽くらいまでであれば専用の水槽台でなくてもIKEAとか適当なところで買ってきた台でも比較的しっかりした感じのものなら大丈夫です。但し、40cm水槽でも深さがあって30リットルとか入るようなものだと専用の台の方が良いです。
60cm水槽以上だったら絶対に専用の台を用意したほうが良いです。水を入れた時の重量で歪んできたり、さらには水で腐食してくるということもありますし。

  • 水槽台マット

オールガラス水槽の場合は、絶対に水槽マットが必要です。...水槽台と水槽の間に砂が一粒入っていただけでも底面に傷を付けていずれ割れる可能性だってありますし、実際にけっこう事故は起きています。
水槽台を買った時に付いていなかった場合は水槽専用のものを買うか、ホームセンターで5mm厚くらいのウレタンマットを買ってきましょう。
それから、オールガラス水槽を買うのであれば、スチールの枠だけの水槽台はダメです。水槽が割れます。
もしスチールの枠だけの水槽台を買うのであれば、しっかりした板を台の上に置いて、その上にマットを敷いて水槽を置くというようにするべきです。

水草水槽をやるならフィルターは、ほぼ外部フィルターしか選択肢はないですね。陽性の水草を大量に育てるのであれば、フィルターはかなり小さめでも良いのですけど、各社が水草水槽で水槽サイズがこれくらいならこのサイズ以上っていうのの目安を出していますよね。その目安の中で一番小さいものの一つ上のサイズのものにしましょう。
何故かというとろ材量が云々とかってことではなくて、後でフィルター内にピートモスを入れたりとかってことをしたくなるから、その分の濾過槽のサイズの余裕が欲しいってことですね。

初めて水草水槽をやる時に選ぶソイルは、肥料分がありすぎるとコケを御しきれない可能性が高くなりますし、だからと言って肥料分がなさすぎても水草が育たくてエサ由来の窒素やリンは水中に溜まるわけですから、やっぱりそれもよくありません。
またどうしてもよく分からないうちは水槽内をいじってしまいがちになる...植えた浮いてきてまた差し込むとかを繰り返したりして...ソイルをいじってしまうので、できるだけ粒が硬くて壊れにくいものが良いですね。
黒ぼく土系(黒い色をしたもの)のもので、栄養分豊富をやたらと強調していないものを選んでおけば大丈夫だと思います。
60cm水槽で8リットルくらいは最低欲しいところです。

照明は、陽性水草をちゃんと育てるのであれば、グロッソとかを這わせたいのであれば、

例えば60cm水槽で、トータル、LEDで40w前後、蛍光灯で70w (蛍光灯3本)くらいあれば充分だと思います。
照明はとても重要です。
よく「60cm用。とても明るくて鮮やか!」なんて言って売ってる数千円のLED照明とかありますよね?(←2014年初頭の話)あれ一つじゃ陰性水草なら綺麗に育つ・丁度良いけど、陽性水草はろくに育ちませんから。赤い水草は緑色に、グロッソは殆どランナーを出さずに立ち上がります。知人のところや近所のショップとか見てて「ダメだな〜」ってのは、まず第1に照明のスペックが圧倒的に足りないってのが殆どです。
「その照明なら、5本つけなきゃ!...あっ!水槽の上に5本も並べられないか...」ってなっちゃいます。
徐々にスペックアップしていくにしても無駄にしかなりません。最初からある程度以上の照明器具を選びましょう。

ヒーターは25-6度を維持できればなんでも良いとは言えますけど、いろいろ後先まで考えたら、
サーモスタット・ヒーター本体が一体型のものではなくて別体のものが良いですね。ヒーターは消耗品ですから。
ヒーターの容量は、地域・住宅の構造・設置場所などにもよりますけど、断熱が効いている部屋で特に寒い地域とかでもなければ、メーカー推奨より一つ小さいサイズでも大丈夫です。例えば、60cm水槽であれば45cm水槽用とかですね。但しあまり小さ過ぎるものを付け過ぎると通電時間が長くなって寿命に影響します。
それからヒーターの色はブラックが良いですよ。白は水槽内で目立ち過ぎます。

夏場に向けた時期でなければひとまず必要ありません。夏場でもエアコンをつけっぱなしの部屋とかなら要らないですし。

CO2の強制添加をしないと水草は育てられないのか?と問われれば「出来ないことはない」と答えるしかないわけですけど、実際にやるならほとんど必須ですね。

これも小さな魚を少しだけ入れて酸素を出す水草を大量に茂らせる水草水槽では絶対に無くてはならないものはありませんが、硝化バクテリアや溶存酸素量の低下に弱いエビのことなどを考えたら用意しておくべきでしょう。

  • タイマー

照明やCO2添加を規則正しく行うために必要です。人がスイッチを操作しても良いわけですけど、規則正しく出来るかというと仕事の都合とかでなかなか難しいわけで、現実的にはやっぱり必要でしょう。
水草は葉をひらく・閉じる、光合成に集中する・体作りに集中するという1日のリズムを覚えます。混乱させて良いことはありません。コケのもとです。

エアレーションも行う場合は2系統は必要ですね。
2系統コントロールできるものでも良し、1系統だけコントロールできる安いものを2つでも良いですね。

ロタラハイグロフィラ ポリスペルマ、ミリオフィラム...といった成長力のある有茎草を大量に用意しましょう。これが最初にしくじらない最大のポイントだと言っても良いと思います。水上葉で買うと水中葉が出てくるのに合わせて水上葉が枯れ落ちて行って水を汚すので、出来れば最初は水中葉にしたいところです。
60cm水槽で100本くらいは欲しいところですけど、例えば安いところ(ex.特売の時のチャームとか)でグリーンロタラ水中葉が20本で1500円くらいですよね。これを3セット...60本買って、長いので半分に切って植えれば120本!って感じで大丈夫です。
もちろん最初のうちは魚とか一切いれないで、水槽内で伸びたらカットした分を差し戻しって増やしていっても基本的な環境が揃っていれば2週間もすれば倍に出来るはずです。
前景草も欲しければ、やっぱりビギナーでも安全確実なのはグロッソでしょうね。2カップくらい買ってくれば1ヶ月〜2ヶ月後には絨毯になりますね。

もう少し正直に本当に理想を言うなら有茎草3−400本って言いたいのだけど、これから始めるって人にあまり無理なことを言ってるって思われるのもなんなので100本!って書いたわけですけど、予算が許す限り多く植えたほうが、結果的には安くつくってこともありますよ。
よく分からないうちは、問題が出る度にいろいろなもの...バクテリア剤とかなんとかに次々と頼っていくことが多いわけですけど、1回1回の出費はたかがしれていても、後になって計算してみるととんでもない出費になってたなんてことはよくありますから。

以前に書かれたアクアリウム始める人へのアドバイスだと、最初に魚が居ないと(あるいはアンモニア源を添加していかないと)硝化バクテリアが育たないとか書いてありますよね。それは大磯砂とか使ってた時代の話ですね。ソイルは窒素源をけっこう含んでいるので、魚が居なくても硝化バクテリアはそこそこ繁殖していきます
安全確実に行くには、最初の数週間は魚を入れないほうが良いですね。
入れるにしても最初はちょっと...60cm水槽でせいぜい5匹くらいにしておきましょう。最終的には60cm水槽で、例えばネオンテトラを4-50匹入れても余裕だし、ちょっと管理に気を使えば100匹入れたって大丈夫なわけですけど、それは後々の楽しみにとっておきましょう。

魚を買うときは、展示水槽に死魚が居ないこと、その他病気っぽい魚が居ないこと、藍藻などの質の悪いコケが出ていないこと...などは最低限チェックしましょうね。
はやく魚が欲しいってのはあるでしょうけど、欲しい魚の水槽がそんな感じだったらそこで買うのを諦めて別のショップに行ったほうが良いです。

  • エビ

エビはコケ取りを考えたら是非入れておきたいですね。

コケ取り能力だけを考えたらヤマトヌマエビが最強なわけですが、最初に入れるのはミナミヌマエビのほうが良いのじゃないかと思っています。
何故かというと、ヤマトと比べるとミナミの方が、窒素分に強い、高水温にも強い、溶存酸素量の低下にも強い、水槽内で繁殖出来る、植えたばかりの水草を抜いちゃうなんてことが少ないなどのメリットがあるので、ビギナー向きだと思うからです。
ミナミを4-50匹入れておけば、ヤマト20匹と同じくらい働きますよ。

  • 水温計

デジタルでもアナログでもなんでも良いですけど、水換えの時などにバケツの水の水温も簡単に計れるものは最低限一つは欲しいですね。もちろん水槽内の温度が常時確認できるものも欲しいです。
安く済ませるなら水槽内に取り付け取外しが簡単...磁石とかで出来るものが良いかもしれませんね。

  • 塩素中和剤

ハイポかテトラのコントラコロラインのどちらかですね。事実上。安さなら圧倒的にハイポ、使いやすさならコントラコロライン。

  • バケツ、ハサミ、ピンセット、魚を取り扱う網

バケツは10リットルので目盛りが付いているのが使いやすいですね。100円ショップで売っています。2−3個買っておきましょう。

ハサミやピンセットも100円ショップのでも大丈夫。
でも、ピンセットくらいは水草用のものを買ったほうが後々良いかもしれません。確実に使いやすいし100円ショップのは錆びるし。
魚を掬う網も100円ショップで売っています...店にもよるけど。

  • エサ
  • 水質測定試薬

最低限、NO2とpHは計れるようにしておきたいです。おおよそ分かれば良いので、最初は試験紙タイプで充分だと思います。

  • 種水か種水の代わりになるもの

種水は無くても大丈夫ですけど、あれば立ちあげをより安全にすることができます。
もし友人が淡水水槽をやっているのであれば、フィルターを掃除した時に出る汚水とかをもらってきましょう。

それが無理ならショップで「初めてだから種水くれ!」と言って水槽水を多めにもらってくるってのもありです。
また展示水槽にそこそこの期間入っていた水草には硝化バクテリアがけっこう付いているハズですし、魚を買ってきた時の水を最初は丸ごと自分の水槽に入れるのもありです。...もちろんその水槽に死魚などが居なかったことが前提ですけど。

種水を分けてもらう時は、容器を水でいっぱいにしないで空気を沢山含ませて...例えばビニール袋に入れるならもらう水は1/3以下にして後は空気で膨らませてるとかして沢山空気を含ませながら持ち帰りましょう。

 

ここまでのところで、必要充分なものを割と安いところで買って、クーラーを除けばざっと6万円でお釣りがくるくらいですか。ちょっと奮発しても10万円はかからないですね。
大人の趣味としては、めちゃくちゃ安上がりでしょう。

 

ここでは「肥料」について書いてないですよね。

成長力のある有茎草100本+グロッソ2カップ入れたら、使うソイルにも依りますが2ヶ月もすれば肥料分が切れ始めちゃうはずです。さらに「理想的には400本」とか書いてますが、これだと1ヶ月くらいでしょうね。肥料が切れ始めるのが。

立ちあげを安全にする・コケを最低限に抑えるということを優先すると、どうしても最初の肥料分を比較的少なめにした上で水の栄養分を使いまくる環境にすることになるわけです。

ところが底床内の肥料分が切れて水草の成長力が落ちてしまうと、水草による水の浄化力自体も落ちてきてしまいます。

こうなった場合の対処は、施肥関連のページを見てみてください。

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