運転モードの切替

以下は、既に安定している水槽をリセットなどではなくて、そのまま高回転型や低回転型へと管理バランスを変えていく場合のはなしです。


低回転モードから 高回転モードへの移行

高回転モードから 低回転モードへの移行


■高回転型への移行


陽性の前景草を育ててみたくなったとか

低回転モードから高回転モードへスイッチするのに何が必要か?

移行期の管理面で何が大事なのかについて、ちょっと考えてみます。

知人が移行させたいらしいので。


高回転型への移行ということは、

・水草を陽性のものを中心にする, それも出来るだけ数多く植える。

・照明の光量を増やす。

・CO2添加量を増やす。

・施肥を増やす。施肥の内容を見直す。

ってことですよね。


まずは機材面。

CO2は、添加量を調整すれば良いだけですから、機材としては、特に新設が必要になるのは照明くらいですね。

もっともCO2も、添加量をかなり上げるわけですから、60cm規格水槽以上の水量があるとミニボンベだとしたら頻繁に交換しなきゃならなくなってコストや手間もばかに出来なくなるので、ミドボンにしたほうが良いかもしれませんけど。

でもまー、ひとまずはCO2は良し。

問題は照明ですよね。


照明は、60cm規格水槽で、できれば3000〜4000lmくらいの光量は欲しいです。LEDだったら40w前後って感じですか。

よくあるかなり大きいけどそれほど光量が無いっていう照明だと、追加で増設ってのは難しいので、買い替えになっちゃいますね。

「60cm水槽用。高照度!」なんてうたってても低価格帯のだと1000lm程度しかないなんてことは良くありますよ。でもって筐体はごりっぱに大きくて2つ並べたら水槽を塞いじゃうとか。…でもこのくらいで陰性の水草中心だとまったく問題なかったり…むしろこのくらいの方が良かったりするんですけどね。

小さいけどパワーのある照明を使っていれば、増設で済みますね。

逆に光量ダウンも一体型の照明器具で覆っちゃうとせいぜいリフトアップくらいのことしかできなくなりますよね。一体型の照明器具はカッコ良いけど融通が効かないんですよね。

水草を全部買ってくるとかってのでもなければ、ここが一番コストが掛かるところですね


水草は、徐々に増やそうという考え方は持たない方が良いです。

最初からいっきに大量に植えたほうが良い。


全部必要なだけ新たに大人買いしてくるというのでもなければ、

・今の水槽で使えそうな水草を出来るだけトリミング時などにストックしておいて増やす。

水上葉育成箱などを使って、予め増やしておく。

冬はキツイですけど、春〜秋なら、グロッソとかを一気に何倍にも増やすのは割と簡単です。特に良いのは5月から7月初旬くらい(南関東のうちの場合)。

・知り合いのトリミングのタイミングを狙ってもらってくる。

って感じで、できるだけ理想的な数の水草を確保しましょう。


なぜ、最初から大量の水草を入れておいたほうが良いかというと、いっくら元の環境がこなれて安定していたとしても、

光量をいっきに増やすと、コケ…中でも緑藻が急増することがあるからです。

光量にあっただけの水草の活動量が最初から無いと危険だってことです。


硝化バクテリアとかが十分に増えていてこなれた水槽だったとしても、光量を急増させた最初の数週間は要注意です。

特に、新たに植えた水草がきっちり根張りして全開で活動をはじめるまでは。


移行期を乗り切る対策としては、

・エサの投入量を最小限にする。

・照明をリフトアップできるなら、最初は上げておく。

・安定を確信できるまでトリミングをしない。ロタラなどが上空を覆ってしまえば、前景のコケを防ぎやすくなる。…あまりに覆ってしまうとグロッソとかは立ち上がってしまうけど、そこはガマン。

ただし、水回りが悪くなるほどには放置しない。

ケバケバ緑藻やアオミドロなどの質の悪い緑藻の多くは強い水流を嫌う。逆に止水になると出やすくなる。柔らか目の緑藻はむしろ水流が強く当たるところから出てくることが多いけど、これは別に怖いことはないですから。

・CO2は十分に添加して少し低めにpH…6~6.5くらいにしておく。

・少しでも緑藻がはびこりはじめる兆候があったら、必要に応じて腹をすかせたエビ部隊を十分な量投入していっきに刈り取らせる。


その後は、トリミングの頻度や施肥の量や内容が変わってくるわけですが、特に施肥についての考え方の違いはここ(施肥の全体像概観)を見ておいてください。


■低回転型への移行


逆に、「もうこんなに頻繁にいじるの疲れたよ。高回転から、低回転へ移行したい。」なんて場合は、

・水草を光量少なめの水槽でも大丈夫なものだけにする。

・照明の光量を減らす。

・CO2添加量を減らす。

・施肥量・内容の見直し。

・(滅多に無いとは思うけど場合によっては)フィルターのスペックアップが必要になることも。


まずは水草ですが、ロタラとか光量をけっこう減らしても成長速度が落ちたりちょっと姿勢が変わるだけで割とちゃんと育つ、基本は陽性の水草ってのは多いですよね。こういうのはそのままで良いわけです。

でも、グロッソとかも育つことは育つけど立ち上がって豆苗みたいなみっともない姿になっちゃいますよね。キューバは光量無いときっついですね。


照明は、増設の時と同じで、大光量の大きい照明1器でやっていると、こんどは光量を落とすのも難しくなります。何灯かのスポットでやっていたなら、幾つか消すだけですね。照射範囲の問題があればリフトアップすれば良いし。

もともとつけていた機材によっては買い替えになっちゃいますね。

光量があるのに低回転型ってのはちょっと無理がありますから。(水槽のバランス


施肥については、ここ(施肥の全体像概観)を見ておいてください。

基本的には、かなり施肥量を減らすだけです。また窒素添加などは、特に底床内の肥料分依存度が高い水草にスポットであげたりする以外には必要なくなるかもしれません。


フィルターのスペックアップが必要になるかもというのは、高回転型の水草水槽は、水草がかなりの水質維持を担っているので、もしフィルターサイズにあまりに余裕が無いなら…ということです。

滅多にそんな必要は無いと思いますけど。


移行期の心配としては、急に光量を落とすと、それはそれでコケが心配です。コケは光量が多いと出てくる・光量を減らせば減ると思い込んでいる人もいますけど、環境が変化すると、これまで見なかったようなコケがいっきに増えることがあります。

光量を減らすと出てくるコケの筆頭は、珪藻ですね。

ただ、光量を減らして出てくるコケは、ケバケバ緑藻のような質の悪いものは少なくて、大抵は腹をすかせたエビの大量投入とかでしのいで、後はちょっとガマンしていれば、だんだん落ち着いてくることが多いと思います。

光量アップの場合ほどの心配は要らないと思います。


ただやっぱり移行期は、エサの投入量は減らし気味にして、様子を見ながら徐々に通常モードにしていった方が良いと思います。

水草による水の浄化力が落ちるわけですから。

状況変化に応じて硝化バクテリアなどが十分に増えるまで…長くても2週間…リセットでなければ3日くらいだとは思うんですけど、小旅行にでも行った時のつもりになって、エサをあげないようにしておきましょう。

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