本当に 多様性・複雑性が安定につながる??

ここでは、割といろんなところで、「水槽内の生物が多様な方が安定する」って言い切っちゃってますよね。

本当にそうなのか?

ってことについて、おおざっくりと。

 

60年代までは、自然の観察などの経験を元に、その環境に棲まう種が多様なほど・複雑であるほどに、環境は安定するって信じられていたんですよね。

 

ところが、70年代にいろんなパラメータをランダムに設定してシミュレーションやってみたら、複雑な方が安定しないじゃんみたいな結果が出てきて、これは経験と食い違うぞ...ってことは、ランダムじゃない構造があるのね...みたいなことになって、その構造とはなにか?みたいな研究が続いてきたわけですね。

 →具体的には適当に検索してみてください。

 

で、例えば、実際の生物は、環境が変化すれば食べるものを柔軟に変化させるぞとかいつも同じ振る舞いをするわけじゃない。柔軟にかなり幅のある振る舞いをすることとか、喰う喰われる・資源を巡って競争するだけじゃなくて、そこら中に相利関係が見られるぞとか...そんなこんなの自然界で見られる現実的な条件を入れていくと、やっぱりそういうことも含めて複雑な方が環境は安定するな...シミュレーションやってみてもってことになってきているわけです。

 

で、アクアリストにとって問題なのは、水槽内で得られる複雑さは、けっして自然をなぞった複雑さじゃないってことなんですよね。

 

じゃーダメじゃん、言い切っちゃ!って言われそうだけど、
まー経験的なものです。結局は。

いちおう、それだけはどこかで書いておこうかなって思ったので。

 

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ところで、アクアリウムは、小さな生態系であると同時に機械でもありますよね。機械の部品は生物のような柔軟性は持ってないですね。少なくとも私達が使うような機材は自己修復はしてくれない。今のところは。

...高いフィルターだと「警告」ならしてくれるものもあるけど。

 

機械だとみると、複雑さは安定を損なう元ですよね。

複雑な構造は、それだけ故障する可能性がある箇所を増やすだけだから。

複雑になるほどにメンテナンス性も落ちてしまうし。

 

 

もちろん、ある程度の冗長性…数年で壊れてしまう消耗品であるヒーターが2系統用意されていれば、ヒーター故障での水温低下のリスクを避ける事ができるとかってこと…も大事だけど、それは本質的な複雑性とはまた別の話。同じことの繰り返しだから。

 

それを機械だと思えば、シンプルがイチバンですね。