潔癖症の衛生観念

人は多かれ少なかれ清潔であることにこだわりますよね。

それはもちろん、人間が…人間であるに関わらず多くの生き物が他の生き物…特にバクテリアなどの直接攻撃を受け続けてきた結果ですよね。


有性生殖を行う生物が つがい選びの評価基準にするもっとも重要な点のひとつが免疫力だって言われているくらいですし。

ツバメの尾羽根の長さも、雄鶏の立派な鶏冠も、孔雀の見事な色の飾り羽も…免疫力の強さをシンボル化しているものだみたいな話ですね。

バクテリアなどの目に見えない存在への恐怖が芯から染み付いている。


だから、お母さんが小さな子どもに「バイ菌がぁ〜」とバイ菌恐怖症をやたらと刷り込もうとするのも分かります。(それが手放しに良いことだとは思わないけど、理由は理解するという意味です)


それが行き過ぎると…強迫神経症的なレベルになると「潔癖症」っていう病気になるわけです。

知り合いに、つり革を掴めない、エスカレーターの手すりを掴めない、便座に座れない… … いつもマスクをしていて、便座シートや除菌スプレーなどを持参していて…誰かと握手したら即座に手を洗うとか...なんていう人も居ました。

もっともその人は性風俗がかなり好きだったので、ものすごく矛盾してるんだけどね。w

まーつまり、なんにしても本能に忠実で本能に振り回され過ぎているってことなわけです。ww


これは極端な例だけど、けっこう多くの人に潔癖症的な傾向が見られます。

現代の日本なんて十二分というくらい衛生的な環境なのに、なんでもかんでも抗菌・除菌だし、ちょっと風邪をひくと(ウィルス性の風邪の場合の方が多いはずなのに 効くわけもない)抗生剤をいつでも処方してもらわないと納得しない。

虫が大嫌いで、昆虫を手で触るなんて「キタナイ」「キモチワルイ」から出来ない。家の中やオフィスで虫を見ると、それが害をなすか否かなんか関係なくスグに殺虫剤を撒き散らす。


彼らはスグに「消毒」をするんです。

消毒って言葉はきっと広告屋が考えたんだろうなって良く思います。(ウソです。皮肉のつもり)


消毒剤というのは、(もしかしたら中には毒を中和して無毒化しているものもあるのかもしれませんが)基本的には程度の差はあっても生物に働く毒ですよね。攻撃対象の生物を殺すための毒です。

人間には殆ど・あるいは極めて軽微な害しかないけど、バクテリアなどの攻撃対象には良く効く毒ってことです。


つまり、毒を消しているのではなくて、毒を加えるのが消毒剤ってわけ。なんという誤魔化し・なんという大ウソ…って以前から良く思っていました。


「対細菌用の毒」なんていう名前だったら、絶対に普及しないですよね。消毒薬って言われればみんな使うけど。


もちろん、毒も薬も突き詰めれば濃度の問題でしかないわけで、水でさえ毒になり得るわけだけど…

そういう話は置いておいて、ここで言いたいのは、

バイ菌には過剰に敏感なのに、化学物質にはあまりに無頓着なのがバランスが悪すぎるよなってこと。


例えば、最近でこそ殺虫剤は、昆虫などにはとても良く効くけど恒温動物への毒性はかなり低く残存性も少ないものが使われることが多いわけですけど、以前は有機塩素系とか有機リン系とかの殆ど化学兵器と同じようなものをバンバン使ってたわけです。

「消毒」って言ってね。


私は、70年代の景色を覚えているような年齢だったりするので、農地はもちろん、学校の近くの松林とか、街路樹とかにバンバン撒いていたのを覚えていて、小学生ながらに完全に狂ってるなって思ったものです。…今でもより問題が少ない方向へ薬剤は確実に進化しているけど、やたらと消毒したがるってのは似たようなものですよね。


別に私は、アンチ農薬ってわけじゃないですよ。

現代日本で、農薬や化学肥料無しで多くの人がまともなご飯を食べれるとは思ってません。ただ、もうちょっとこうなれば良いのに…ってのはいろいろありますけど。


結局のところ、微生物や虫に対する恐怖心と化学物質に対する恐怖心があまりにアンバランス過ぎるってことを言いたいんです。


生物への恐怖心が本能とも呼べるものに根ざしていて、片や問題の化学物質の殆どはほんの最近…たかだか100年くらいの歴史の中で出てきたもので、オマケに科学っぽいものバンザイの空気もあったわけだから、この差は仕方が無いのだけど、それにしてもあまりに無頓着に様々な化学物質を自分の体に塗りこんだりさえする。…制汗剤とか防虫スプレーとか。


そうそう、この20年くらいは、今度はまた逆の極端も出てきてますよね。化学物質への漠然とした恐怖心が、とにかく農薬ダメ、化学肥料もダメって。

なんでもかんでもオーガニック万歳!ってのが。


これもまた極端です。話を単純化し過ぎている。

だいたいオーガニックって何ですか?

(ここで言っているのは、有機農法の法的な定義とかそういうことじゃないですよ?)

オーガニック=有機=炭素が結合した分子を使ってたらオーガニックなんですか?

だったら尿素を使ったらオーガニックなんですか?

(しつこいですが、社会的な規制としての有機のことなら知ってますよ。そういうことじゃなくてです。)


自然由来のものだけ使ってたらオーガニックなんですか?

だったら、畑はそもそも自然のものですか?

畑をつくることって人類の自然破壊活動の原点でしょ?


結局のところ、なんとなく漠然とオーガニックなんでしょ?

気分なんでしょ?

そう言っちゃえよ。すっきりするよ。別に怒らないし。

とか、

たまにそんな悪態をつきたくなります。


それから、「こんなに消費期限が長くて、カビも生えないパンなんておかしい」なんていう話が出まわってますけど、無菌パッケージしているパンの消費期限が長いのは…パッケージを開けない限りカビが生えたりしないのは当たり前です。

「虫も食べない野菜が体に良いわけがない」とか言う人もいますけど、そういう直感を持つこと自体は正しいとは思いますけど、ちょっとは検証しましょう。

大昔ならともかく今は水溶性でさらに分解されやすい農薬が使われているし、出荷前の一定期間の使用は行っていないから、残留農薬は激減しています。

その上、植物は虫に囓られると自己防衛のために体内の毒素を増やします。

つまり、虫が齧っているからこそ毒が多いってこともありえるんです。


ここまで来ると、おまえが何を言いたいのか分からないって言われそうですね。


あれもこれも正しいし正しくないってそりゃなんだ!って

旗幟鮮明にしろよって。


私も広告業界で生きているので、はっきりしない言い方が殆ど何も伝わらないってのは理解しているつもりです。

でも、言いたいのはまさそういうことなんです。

あれもこれも正しいし正しくないって。


これは良くてこれはダメではない。

人の体や作物:食べ物など、こと生き物に関わることについて、二元論に陥ったら、まともな判断はできなくなるって。


こういう分野で「こうすれば良い!」って断言している言説は、すべて眉唾くらいに思ったほうが良い。


専門家でも無いのに、いちいち吟味していられるか!そんな時間はもったいない不毛だ!

ってことなのだろうけど、

だったら最初から「これが良い」「これが悪い」なんていう情報を全部まとめて無視すれば良い。

いちいち反応する時間こそもったいない。


もうちょっと落ち着こう。

この手のことでセッカチで良いことなんて何もない。


スグにこの手のことは先鋭化していくんですよね。

つい最近も、


1)現代人は本来の人間の在り方に対して炭水化物とり過ぎ。

↑これは私も同意。 野生生物にはない人間特有の不幸(幸福もそうだけど)の根源は農業による穀物生産がルーツだ!くらいに思ってましたから。

2)徹底的なカーボンカットだ。簡単に健康的に痩せられます!
  …大流行。

↑そういう極端なのって、ヤバイんじゃないの?

3)カーボンカットのやり過ぎで、
  かなりヤバイレベルでからだを壊しちゃう人続出。

↑言わんこっちゃない。


この手のことで100%の答えなんて無い。

いつでも、より良いやり方・より良いバランスを手探りしているって感覚が大事なのだ。

立場はコウモリにしておこう。あれもアリ、これもアリって。

きっとそのあたりの間のどこかに答えがあるんだろうな〜くらいが良い。

って思うんですよね。


水槽も複雑系なんだから、「これが絶対に正しい」なんていう言い方をくれぐれも信じないことですね。

このサイトに書いてあることも含めて。


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