はじめてのアクアリム
まったくの未経験者:これから始めようと思っている人向けのアドバイス
2015-02-15
■前書き・注意書きのようなもの
面倒くさいと思ったらここはすっ飛ばして下さい。
まったくアクアリウムをやったことが無い人に、
「最初にどこを見たら良い?」って聞かれて、
そう言えばここは一定の経験者向けにしか書いてこなかったな〜...
と思って、そういう人に向けたものを書いてみたいって思ったんですよね。
そもそもが私だって、最初は右も左もまるで分からなかったし。
それでも、いちおう生き物を扱うのだから、あまりにいい加減なことはイカンなってことで、水槽を買ってくる前にいろいろなサイトを見て回ったりもしたけれど、まー最初はまるでそういう情報の評価力も無いわけで、いろいろ見れば見るほど分からなくなっちゃうところもあったりするんですよね。
それと、冷静に丁寧に説明しているところってのはあるのだけど、もっと現実的なところでぶつかるような問題について省いちゃってるところが殆どなんじゃないかとも思います。
例えば、どういうことかと言うと、
「ひとまずいろいろ買いに行こう!どこに行ったら良いのかな?熱帯魚屋で近所のお店を検索してみようか」なんてやったとして、まともに水草を扱ってる店に・水草についてのまともなアドバイスをくれるようなショップに当たる可能性ってどのくらいあると思います?
私としてはとても低いと思うんですよね。
そりゃー中には素晴らしいショップってのもあるのだけど、具体名出したところで誰でもそこに簡単にアクセス出来るわけでも無いですからね。
そんなことまで含めて、一気に私ならどんなアドバイスをするのか?ってことで書いてみようと思います。
それもいちいち丁寧に選択肢とその選び方についての考え方示したりとか、もう一切抜きで、独断と偏見でゴーインにこれにしろって書いちゃおうと。初心者は、詳しく書いてあるほど分からなくなったりもするものですから。
いちおう
-
水草水槽と呼べるものをつくる。主役は水草。魚は脇役。
- 無駄に贅沢な選択肢は決して示しません。あとから追加でなんとかなるものも出来るだけ省きます。でも、だからと言ってあまりにおずおずと始めても上手くいかない可能性が高くなるので、控えめ過ぎるような選択肢も示しません。
- なぜそうすべきなのか?他の選択肢が無いのか?ということは、書きません。確認したい場合はリンクを追って下さい。
ってことを前提にします。
最後にひとつ、基本的な注意を。
水槽は複雑系です。アドバイス通りにやれば必ず失敗しないという保証はできません。ちょっとしたことがきっかけでコケに悩まされるなんていう方向に行くこともあります。アドバイス通りにやれば、そうでないよりかは、より失敗しくく出来るのではないか?という程度です。このことを予め理解しておいて下さい。
以下は夏場を除いたやり方です。
最初の一歩は出来れば夏を避けましょう。
10月〜4月くらいの間に始めるのが良いですね。
夏場に始める場合は、クーラーなどの高温対策がさらに必要になります。
■水槽の置き場所を決める
最初に決めるのは水槽をどこに置くのか?
以下の条件を出来るだけ満たすところに置きましょう。
- 幅80cm以上奥行き40cm以上高さもかなり余裕がある...上空を自由に使える場所。
- 水が少しくらいならこぼれても拭けば済む床。
水が苦手な電気製品などが近くにないこと。 - 安定していて・水平が取れていて、少しは重いものを置いても大丈夫な床。
- 直射日光が当たらない場所。できれば、1日中ライトが付いていたりしない場所(しっかり暗くなる時間がそれなりにある場所)
- 電源の確保が出来る場所。
- ドスン!というような低くて強い音がしない場所。
例えば、玄関の重い鉄の扉の近くで頻繁に人の出入りがあるような場所はダメ。
■機材などを揃える。
まずは以下の機材などを買いましょう。
良いアクアショップを近所で探してそこで揃えるのが、後のことも考えたらイチバンですけど、なかなか良いショップって見つからないので、通販で...チャームとかで一気に揃えちゃうのも手です。
- 60cm水槽。できればフレームレス(ガラスだけで出来ている)のガラス水槽が良いですね。
- 水槽マット。大抵は水槽に付いています。フレーム付きの水槽なら必要ありません。
- 60cm水槽用の専用の水槽台...水槽用のキャビネット。
スチールフレームだけのものは避けましょう。 -
外部フィルター。
エーハイム エコ コンフォート 2234とか。 -
照明。
蛍光灯で18w管×3本のタイプか、LEDで30〜40wくらいのもの。
出来れば水草用と書いてあるものにしておきましょう。 -
ソイル 8リットル。
プラチナソイルあたりで良いと思います。
なんにしても黒ボク土が原料の比較的腐植分が豊富な黒いタイプにしておいて下さい。 -
ヒーター・サーモスタット
ヒーターとサーモスタットが別体になっていてセットで売っているものを買ってきましょう。120〜150wくらいのもの。 - エアレーション関連
-
- 水心 SSPP-3S
- エアーチューブ
- 逆止弁
- エアストーン
-
CO2添加関連
以下の条件が揃っているものが揃うならセットで買っちゃったほうが良いかもしれませんね。 -
- レギュレーター + スピコン
圧力調整が可能なもの。
例えば、AI.netの2Wayレギュレーターあたりなら、多くのショップで取り扱っているし、後でボンベを大型(ミドボン)に切り替えるのも簡単ですね。
スピコンを別に買うなら低流量タイプのものにしましょう。 - 電磁弁
レギュレーターに最初から付いているものもあります。 - 耐圧チューブ
- 逆止弁
- バブルカウンター
- CO2ストーン
CO2マスターアドバンスとかバジルとかの水槽内ではなくてフィルターのパイプに直接添加するタイプがおすすめ。
もちろん適当なCO2ストーンでも良いです。 - 小型CO2ボンベ
レギュレーター・ボンベのねじ山の規格が数種類あるので合わないと接続できません。
ADAのレギュレーターを買っているならADAのボンベ。
そうでないならほぼ、5/8-18UNF(大抵はこれを汎用規格とか一般規格とかって言ってます)のものです。
もちろん、最初からミドボンにしちゃうのもアリです。
- レギュレーター + スピコン
- タイマーなど電源管理関係
-
- プログラムタイマー
照明・CO2とエアレーションの時間を管理します。
単系統しか管理できないけど安いのを2つ買っちゃうのがおすすめ。例えば、リーベックスデジタルプログラムタイマー×2個 - 電源タップ。
コンセント毎にスイッチが付いていると便利。
- プログラムタイマー
- 水草
まずはグリーンロタラ(水中葉)がおすすめ。這い進んでくれたりもするし。少なくとも40本くらいは買いましょう。...これ、水草の量はとても大事。理由はここで書きませんが。お小遣いに余裕があるならもっとずっと沢山買っても良いくらい。通販で纏めて買えば安いはず。
もちろん本当に大量に買うなら、全部グリーンロタラってのも寂しいから、ある程度成長力があって水質に五月蝿く無い有茎草を何種類か買うのも良いですよね。ロタラインディカとか。
前景草も欲しければ、グロッソスティグマを1-2ポット買っておきましょう。
水草を買う時は、緑色のどろどろした藍藻とか、ケバケバした緑藻とかのやっかいなコケが出ている水槽に入っていたものとか、根元のほうが腐りかけてるとか、そんなものは買うのをやめましょう。というか、その店自体から水草を買わないほうが良いと思います。 - 塩素中和剤
なんでも良いですけど、コントラコロラインあたりを買っておきましょう。 - 水温計
- 10リットルバケツ
- 亜硝酸 (NO2)試薬
試験紙タイプのもので充分。
■機材をセットする
- 水槽台を設置。
水槽台がぐらつかないか・水平になっているかをチェックします。
例えば、iPhoneのコンパス アプリには水準器の機能があるので簡単に水平になっているか否かをチェックできます。
そういうのが無くてもビー玉置くだけでもだいたい分かりますよね。
水平が取れていないようなら調整して完全に水平を取ります。 - 水槽を洗う。
中性洗剤でざっと洗ってよく洗剤を流す。 - 水槽マットを轢いて水槽を設置。
- 各種の機材を各機材のマニュアルに沿って設置。
まだ通電したり、CO2を通したりはしないように。
ひとまず取り付けるだけ。
■水槽のセッティングを終わらせるまで
-
ソイルをザァーっと殆ど水槽に入れて均します。
- ソイル面は前より後ろのほうを高くしたほうが良いですね。塩素を抜いた水をソイルがひたひたになるくらいまで入れます。
- 奥の方にロタラを手前から奥に向けて斜めに挿していって全部植えます。
-
グロッソは、ばらして1本ずつ植えても良いですけど、
ポットから取り出したものをもみほぐす感じで充分に広げて前の方に置いて上から、ソイルを上から掛けて半分埋めるようにしちゃっても大丈夫です。カップの底の方のグロッソが傷んでいる場合もあります。そういう場合は傷んでいるところは予め丁寧に取り去りましょう。 -
塩素抜きした水を水槽の上から数センチのところまで入れます。
水をいれるときにザァーっと入れちゃうと、当然ですけどソイルが掘り返されちゃうしソイルから出てくる汚れも舞うので、そぉーっと入れましょう。ソイルの袋などのビニールを底に敷いてその上に水をゆっくり注いでいくなどすると上手く出来ます。 -
ヒーターのスイッチをオン。
サーモスタットは25-6度くらいに設定しましょう。 - フィルターに水を呼び込みます。やり方はフィルターのマニュアルを見て下さい。水を呼び込めたら、通電してフィルターを稼働させ始めます。水槽内を水がよく巡っている...隅々に循環していることを確認します。
-
照明とCO2機器(電磁弁)をタイマーに繋いで通電します。
照明が付いてCO2の添加を行うのは、8〜10時間くらいにしましょう。例えば、夜帰宅してから眺めたいなら、13時にオン、21時にオフになるように設定するとか。 - CO2のバブルカウンターを見ながら、スピコンを開け閉めして1秒1滴〜2秒1滴くらいに添加量を調整しましょう。
- エアポンプをタイマーに繋いで通電し、エアーが出ることを確認。
タイマーは、照明が付いていない・CO2の電磁弁が開いていない時間に作動するように設定しましょう。
ここまでで、初日の作業は終わりですね。
お疲れ様。
■セット後〜ひとまずの水槽環境確保くらいまで
以下は、あくまでも上記の購入リストにも書いているように、比較的腐植分が多く栄養豊富なソイル(たっぷり窒素分を含んでいる)を使った場合です。例えば大磯砂とか田砂とかだけ使っている場合は、以下のやり方では立ち上がりませんから。念のため。
- 最初の数日で水の濁りはとれていくはずです。
もし白くにごり続けるようであれば、1/3程度の水換えをしてください。水換えは常に必ず塩素を中和して温度を合わせて行うこと。 - 早ければ1週間〜10日くらいで少しずつ根張りがはじまり、新芽も確認できるようになります。このころから日々の水草の成長がよく分かって日々楽しみって感じになってきます。
- 1週間目くらいから数日に1度程度の頻度で、亜硝酸のチェックを行って下さい。亜硝酸が出ているのを確認し、どこかで亜硝酸が出なくなることを確認します。もしずっと亜硝酸を検出できないようなら、それならそれでも大丈夫です。
- 亜硝酸が出ていないことを確認した上で、3週間目くらいを目安にして、魚とエビを買ってきて入れます。
- まずは魚とエビを迎える前に、1/3程度の水換えをしておきます。
- 魚を買う時は、死んでいる魚、ヒレがボロボロの魚がいるような水槽からは買わないようにしましょうね。別に魚を入れるタイミングは3週間目じゃななきゃダメってことはないですから。遅れる分には問題無いですから。
ついでにエサも買ってきましょう。エサは一般的なフレークエサで良いです。それから魚を掬うネットも買ってきましょう。 - ひとまず魚は4cmくらいまでの小さいものを5匹程度。
エビはヤマトヌマエビを10匹くらいか、ミナミヌマエビを2−30匹くらいを目安にします。
魚は、ネオンテトラ・グリーンネオンなどの定番のものでも良いですし、コイ科(ラスボラとかボララスとかって名前が付いているもの)の小魚も比較的丈夫で良いですよね。ハナビとか。 - これらを入れる時は、買ってきた魚が入っている袋を水槽に浮かべて30分程度まって水温を合わせ、その上でさらに1時間くらい掛けて水合わせをしてから、ネットで掬って魚だけ水槽に入れます。
水合わせは、温度合わせが済んだ買ってきた魚が入ったポリ袋を開けて、中の水と魚をバケツに開けます。1/3くらいの水を捨て、それと同じくらいの水を水槽から入れます。15分くらい経ったらまた同じことを行い、これを全部で1時間くらい(4回くらい)行います。最後に魚を掬って水槽に入れます。
- 毎日のエサやりは、細かく砕いたフレークエサを1日1回耳かきに大盛って程度にしましょう。水槽環境を崩壊させる最大の原因はエサのやり過ぎです。
- 魚を入れてから後は、週に1回1/3くらいの水換えをするようにしましょう。
- 3-4週間目くらいには、そろそろロタラが水面まで伸びてしまっているのではないでしょうか?これを中程よりちょっと下くらいのところで切って、切った分をまたソイルに挿して植えます。これでロタラは最初の倍の本数になっていますよね。最初に40本なら、ここで80本です。
また、前が開けていたグリーンロタラはソイル面を這い進んで、途中から目を出して新しい枝が出てき始めているかもしれません。
そんな分を考えると、あともうちょっとで100本って感じですか。
また3-4週間目であれば、グロッソも盛んにランナーを出してソイルの上を這い伸びているハズです。毎日ちょっとずつ伸びるランナーを眺めるのは良いものです。 - このころ、茶ゴケ(珪藻)が出てくるかもしれません。
珪藻は見た目は汚いけど、あまり心配する必要のあるコケではありません。水槽のガラス面を拭いたり、水草についているものは刷毛...100円ショップに売っている小さめのもの...で掃き落としたりしましょう。茶ゴケは長くても出始めてから1ヶ月ちょっとで消えてきてくれると思います。
その他のコケが出てきている場合も出来るだけ取るようにしましょう。 - 1ヶ月くらいしたら、フィルターの中のカーボンマット(黒いマット)は取り外しておきましょう。
- 1ヶ月半かもうちょっと手前で、またロタラをトリミングすることになります。ここでカットした分をソイルに挿せば、前に切ったところから枝分かれもしているので、200〜300本くらいにはなっているハズです。
- このころになると、ソイルがもともと持っていた栄養分だけではちょっと足りなくなるかもしれません。そろそろカリウムの添加が必要になりますね。液肥タイプの水草の総合肥料(カリウム主体で窒素やリンを含まないもの)を買いに行って、カリウム3%のものであれば、まずは週に3mlくらいずつ水換えの水に入れて施肥するようにしましょう。例えば、テトラのフローラプライド(これはカリウム3%)あたりならどこのショップでも売っているハズです。
- 最初から1ヶ月半か2ヶ月くらいすると、かなり水槽も安定してきます。徐々に好きな魚を増やしたり、水草の種類を増やしたりするようにしましょう。コケの出方にも寄りますけど、もしかしたらエビももう少し増やしたほうが良いかもしれませんね。
最初のうちは、水草を選ぶときに比較的適応水質が幅広く成長力があるものを選びましょう。どの水草がどんな水質や光量などの条件を好むのかなどは各自で調べて下さい。
魚を選ぶ時も適応水質や既に入っている魚との相性などに気をつけましょう。
また魚の種類によっては、かなり水草を齧る種類とかもあるので(ex.ラミーノーズ)気をつけましょうね。
ここまでくればひとまず大丈夫。
後はいろいろ研究しながら好きなように水槽をつくっていきましょう。
殆ど全く「なぜそうすべきなのか?」について書いていませんけど、
いちおう水槽環境づくりの最も基本的なことだけ、書いておくと、
水槽管理の基本の基本・土台の土台は、水中の窒素分の処理です。
魚がエサを食べて輩出するアンモニア、あるいはソイルに含まれる腐植分や枯葉などが分解されて出てくるアンモニア...この猛毒を、どうやって処理するかです。
この処理の基本は、硝化バクテリアを充分に増やして、アンモニアを最終的に比較的毒性が低く、水草も栄養としてよく吸収する硝酸(NO3)にまで確実に素早く変化させていくことです。
このことを考えると、やっぱり、安心して魚を増やしていったりするのにも1ヶ月半とかの時間が掛かっちゃうんです。
なので、あまり目安にしている時間を端折らないように...早めに魚を入れちゃったりしないようしましょう。
もちろん、絶対にスグに魚を入れたらダメとかってことは無いですよ。
60cm水槽に小さいのを5匹くらいなら、割と安全に早くから入れる方法が無いわけでもないですけど...でも、それをやりたいなら、それはそれでどうしたら良いかは各自研究してみてください。
でも、最初は...充分に知識が付いたり、様々な手を使えるようになるまでは、ここで書いたような手順と時間を取ったほうが、後々のことを考えても良いと思います。
かなり無理やり、独断で決めた内容にしていますけど、
当たり前ですが、これに従う必要なんてぜんぜん無いわけです。
私も散々ネットとかで調べたり、周囲の経験者に聞いたりしながらも、どれを信じてどれを無視するのかなんていうのは、その時その時の判断でかなり身勝手にやってましたから。
素直に聞かないわけですよ。
それで散々失敗し遠回りしてきたわけです。
それで後悔しているかと言うと、そんなことはまるで無くて、自分で考えて自分で選んで検証して理解するってことを繰り返してきたことで、しっかり理解が深まってきたというか、それが面白かったわけですね。
まー今だに思いつきでヘンなことを始めてみたりして、いろいろ失敗しながら新しい理解が出来て、それが面白いってのもあるのですけど。
遠回りはイヤなら素直にアドバイスを聞けばよいし、そうでなくてもそれはそれで良いじゃんってことですね。
どうやろうが趣味の問題ですから。
これって、書いた後から振り返ってみると、ずっと以前に書いた立ち上げ関連の内容とほぼ同じですね。
何が違うって、まったくのゼロから始める人・よく分かってないかもしれない人に、より安全に立ち上げてもらうために、
魚をまったく使わないで、一番最初は腐植質豊富なソイルの窒素分だけで硝化バクテリアを増やしていこう
ってところと、説明のニュアンスがちょっと違うだけで。
なんだかな〜。もう書いちゃったからアップしちゃうけど。