照明

高回転型の水槽を維持していく上で、もっともこだわる必要がある機材は何かと問われれば、CO2添加などは当たり前として、まずは照明です。

 

知人のところや近所のショップとかを見ていて、上手くいってないところというのは大抵は、陽性水草主体なのに圧倒的に光量が足りてないというところが殆どです。

 

充分な光量...目安としては60cm規格水槽でLEDなら40wくらい、蛍光灯なら70wくらいのものは最低用意しましょう。

 

もちろん強すぎる照明の弊害というのはありますが、照明が弱過ぎたら何も始まりません。

陰性水草主体にするなら別ですが。

 

以下は、ブログ記事(2013年04月01日)を転載。

 

LED照明選びの基準

私は、少しくらい値段や性能がこなれていないところがあっても最初から照明は全部LEDにするしかないと考えていた。

理由は幾つかあるけれど、
1.やっぱり一番大きいのは、少なくとも10年は持つ…マメに交換しなくて済むこと。
2.あともちろん電気代。水草水槽だといちばん電気を食うのは(夏場のクーラーとかを除けば)間違いなく照明だからね。
3.それと、そのクーラー代にも関係しているけど、光量に対する発熱量*の少なさですね。…夏場対策の第一歩は照明をリフトアップですよね。
*:正確には、器具の発熱量自体は、今のところ蛍光灯とLEDはたいして違わない。但し、発する光に含まれる赤外線の量が違うので、水の温めやすさがまるで違う。器具自体を水面に近づけすぎなければ、LEDの方が遥かに水を温めにくい。


最初に照明選びを始めた頃は、まだアクアリウム用のLED電球は必要充分なスペックを求めたらあまりに高すぎて手が出なかったのだけど、最近はかなり価格もこなれてきて、これなら割とスグに…数年で元が取れるよなってくらいにはなってきてますよね。

私は、ちょっと調べて家庭用のでも充分イケルなと思って、家庭用のLED球を使ってます。
だから、これから書くのは主に家庭用のLED球の中から選ぶ時の話です。

照明を選ぶ時に意識することといえば、
1.鑑賞性能 … 水草や魚が美しく見える
2.水草育成・コケ対策
3.製品価格・信頼性・ランニングコスト …

ってところでしょう。

まず鑑賞性能ですけど、
これは主に色温度と演色性能ですね。
何を育てているか、どんな景観を目指しているかにもよりますけど、一般的に緑の青々とした清々しい印象の水景をつくりたいなら、
色温度は、最低6000k、出来れば8000kあたりが良いと思います。
これより低すぎると、なんとなく黄ばんだ印象になりますし、
これくらいより高すぎると、青っぽい印象になってしまいます。
演色性能は、高ければ高いほど良いってのは当たり前ですね。
この値が低すぎると、例えば、赤が酷くくすんで見えたり、紫っぽい色がかなり印象が違った色に見えてしまったりします。
でも、特別なものを選ばない限りはそれほど気にすることもないのじゃないかとおもいます。最低でもRa70くらいのスペックはあるし。
LED照明のスペクトル分布は蛍光灯などと比べるとなだらかなものになるので、大昔の蛍光灯のように極端に一部の色がおかしく見える...真っ赤なバラが海老茶色に見えちゃう...みたいなことはありません。

次に水草育成の観点ですけど、
これは、光量…配光性能も考慮した上での実効光量と、スペクトル分布ですね。

一部の高価な高演色球を除けば、家庭用の白色LED球は、青色LEDと黄色の蛍光体の組み合わせ(B+Y)で白色をつくっています。なので、B(450nmあたり)とY(550nm)あたりの波長の光が突出しています。

ちなみに水草が主に光合成に使う波長ですけど、
まずは最も有効に使われるのが、赤色(600-700nmあたり)、
ついで、青(400-500nm)あたりです。
最後に緑とかです。

ちなみに「緑~黄色は使われない(だから葉は緑色なのだ)」なんてことを書いているところもありますが、植物はこのあたりの波長も使っています。
葉の表層で、赤、青を優先的に使い、葉の奥のほう裏面に近い方で散乱光状態になった残りの緑を使うという構造になっています。

赤は最も有効に水草の光合成に使われますが、他に発芽や日長作用などにも深く関係しています。
青は、昼夜で葉を開いたり閉じたりといった運動やグロッソやグリーンロタラが這ったりといった姿勢づくりなどに関係しています。

ちなみにコケはどうなのかというと、赤を効率的に使えるのは、緑藻やアオミドロなどくらいで、多くのコケは、青を優先的に使います。
さらに、黒ヒゲなどの紅藻類や珪藻などは黄色や緑を優先的に使えたりして…水中では赤の光が最も急速に減衰していきますから青を優先したほうが有利なんですよね。その点、水中でしか暮らしたことがない珪藻とか紅藻とかと違って、水草の殆どは基本が陸上植物で水中適応も出来るということですから、かなり違うわけです。
つまり、水草の成長を最優先してコケフリーにしたいなら、野菜工場みたいに赤だけ照射すれば良いということになりますね。緑藻は出ますけど。
この点で、一般的な家庭用のLED照明は、コケが大好きなB+Yが主体なのでサイアクです。
だから、私は赤色LEDを追加してバランスを取ろうとかしたのですけど(というか今でも60cmタンクの方は点灯させているけど)、実際の運用上はあまり関係ないですね。それより他のことの影響の方がずっと大きいですよ。
実際に赤色LED入れていない40cmタンクでも殆どコケが出ないし、60cmの方も立ち上げから2ヵ月ちょっと、酷くコケに悩まされたことはないしね。
この問題より、総合的に見れば冒頭で書いたメリットのほうが大きいなと。
だいたい、赤の割合が多い光より、青の光の割合が多い光のほうが美しく水槽が見えますから。それに青が入らないと草姿がちゃんとしないですしね。
アクアリウム用として売っている専用のLED照明も特に水草用をうたっている赤を強化したもの以外は、殆ど波長分布変わらないですしね。
結局鑑賞面を意識すると殆ど同じ結果になります。

とは言え、もちろん、高演色型(B+G+R)とかで適当なものが手に入るようになればそっちにしたいですけど。
震災以降店舗などでのLED使用も広がっていて、生鮮売場用…特に肉や魚の売場用のの価格競争が始まってるから、このあたりの影響で、家庭用のも安くならないかなって期待してます。

それと、照明は、光の直進性も気にしたいところです。
メタハラだと、水草の縦伸びが激しくて、グロッソやグリーンロタラの這いが悪いってのは、よく書かれていますよね。太陽の光のように直進性が強すぎるわけです。太陽光の照射角度は変わり続けますけど、メタハラは真上固定ですからね。影のところはずっと影のままです。
なので、水草の草姿は散乱光が多い蛍光灯の方がずっと良いと言われてきました。
この点で、LEDはどうかと言うと、めちゃくちゃ直進性が強いですね。
じゃーダメじゃん!ってことなのだけど、家庭用のLED照明は散乱光をつくるカバーが付いているので、かなり状況が違います。
水槽用に開発されたLED照明の多くは、 
光源→照射角を調整するレンズ 、あるいは、 光源→クリアカバー ですよね。
あれはどうなんだろう?メタハラと同じ事になるのではないでしょうか?
ちなみに、家庭用LEDを使っているうちの水草は割と良く這うと思ってます。

くどくどいつまでもリクツ書いていてもしょーがないので、今、実際に選ぶとしたら、どのくらいのものを選ぶかですけど、

1.光量 1000-1500lm
2.色温度 6000-7000k ... 但し本当に清々しくスッキリ見せたいなら8000とか9000kくらいは必要。
3.照射角120°あたり

の電球を

60cmの規格水槽なら、
全部で3-4灯
全体で光量が、3000-5000lmくらい
消費電力 30-50wくらい

あれば…上記の下限くらいでも
ちゃんとグロッソもビッタリ這うし、ロタラも雪崩るし、赤くなる水草はちゃんと赤くなります。
いい感じ狙うなら上限の数字にしたいですけど。

今、ちょっとAmazon見てみたんですけど、
ここで売ってる中で選ぶなら、

Panasonic EVERLEDS(エバーレッズ) LDA11DHW(PA)
1050lm, 6700k
ってのを3-4灯ですね。
4灯の場合、全部トータル・単純積算で、
44w、4200lm、約12,000円弱です。
3灯なら、
33w、3150lm、約9,000円弱です。

これだけ出すなら、もうちょっと足して水草専用の照明にしようってのもあります。この1年ちょっとで随分と安くなってきてるから。
それにこれは球代だけでソケット代が含まれてないし。
それでも、ちゃんと見て行ったらアクアリウム用の半額くらいに収まると思いますよ。
それに、一般家庭用なら、光量落ちてきたなとか、それ以前に気に入らないなとかって時に、家庭内のどこかで使えたり、誰かにあげちゃってもいいし。

これでもし何か気に入らないことがあるとすれば、色温度でしょうね。
水槽用で売っている白色照明は色温度9000Kとかそれ以上のも多いですから。
それと比べれば、「スッキリ・爽やか」度合いが劣るっていう印象になっちゃうかもしれません。
人によっては「黄色っぽい」っていう印象を持つかもしれません。
こればっかりは好みなので、いくら書いても伝えるのは難しいですね。
点灯している照明を比べてみるしか無い。
いちおう参考までに(役に立たないかもしれないけど)色温度の目安は、
晴天の日に窓から差し込む太陽の光が6000Kちょっと切るくらい。曇天の空が7000K、晴天の空が12000Kって感じです。
もし6500Kの電球を明るいオフィスで使うならフツーに白い光っていう印象。
夜のリビングやトイレなんかで使うと「青白くて気味悪い」ってくらいの感じになります。
それから、よく水槽にも使ってる人がいるフツーの家庭用に売ってる蛍光灯の昼光色は6500-7000Kくらいですね。
...だから、大丈夫だとは思うのだけどね。いちおう。念のため。

LED電球はまだまだ発展期で、どんどん変わっていってますよね。
実際、私が買った頃…1年半くらい前と比べても、同一ブランドの同一ポジションの商品が、照射角はより広く、演色性重視で色温度は低めに、価格は安く…なってきている。
価格が安くなるのは歓迎だけど、水槽利用を考えると広い照射角も低い色温度も迷惑な話だよな~。
そのうちに、蛍光灯とかと同じように、家庭用のでも全く問題なく水槽に使えるのがバリエーションとして出てくるんじゃないかと思ってます。
今は、まだ「少しガマン」ですね。

特に、最近の一般家庭用は、配光性能を競っている面があって、やたらと照射角が広いのが主流になってきています。260°とか。
これって、確かに以前の家庭用のLED電球は、真下だけが眩しいくらいに明るくて、部屋全体は暗い印象になってしまうのが多かったので、家庭用に使うなら(というか、そもそも白熱電球用にデザインされたリビング用の照明器具をそのまま使うなら)照射角度が広い方が良いに決まってるわけですけど、水槽用に使うなら別ですからね。
斜め上に照射してくれてもムダになるだけですから。
かと言って、もちろん真下だけ明るくて、水槽内に明るさのムラが出来すぎるのもダメで、主に水槽用を選ぶメリットは(耐水性とかもありますけど)、ここですね。
積算で、◯千ルーメンとか言ったって、実効の光量、さらには水槽内をバランス良く照らせるかってのは、別ですから。

とにかく、一般家庭用のものから選ぶなら、スポットライト型は照射範囲が狭すぎるし、やたらと配光性能をうたったものは、ムダが多すぎると思っておいてください。

それとあとひとつ。
照明をつけるランプソケットですけど、むき出しで球をつけるのもカッコいいかもしれないですけど、家庭用のは照射角が広めなので、水槽を眺めるにも眩しくて目が痛い感じになりますよね。
だから、傘が付いたのを選ぶ必要があるのですけど、球によってはかなり大きくて、通常の白熱球用のだとはみ出しちゃうのもあります。
実際ウチで使ってるのははみ出しちゃうので、傘を後から延長しています。
なので、そういうのがイヤなら、球のサイズもちゃんと確認したほうがいいですね。ちなみにさっき例であげたパナソニックのは大丈夫だったはずです。

ソケットは、一部はチャームで買ったのを使ったりしてますけど、ほとんどが、
ヤザワ クリップライトE26電球なし クローム CLX605CH
ってやつですね。
なんと一つ900円でお釣りが来ます。
これをアクア用に使う上で気をつけなきゃならないのは、ステンレス製じゃないよってこと。
以前にエアレしていた時に、エアレの泡で弾け飛んでくる水滴で錆びちゃったことがあります。エアレしてなきゃ大丈夫だけど。
そんなこと気にする人は…エアレとかします!って人は、もっとちゃんとしたステンレス製のものにしたほうがいいですね。

 以下は、2013/12/22のブログ記事の転載です。

水槽内の照度

こんなアプリ(REPLE)を見つけたので、
早速、水槽内に白いプラスティックの板を入れて、水槽のガラスの外から照度(lx)を計ってみました。


この写真は底床面を測りなおした時のもの

底床面で、だいたい8,100lxちょっとくらい、
今のロタラの上の方(底床と水面の中間点よりちょっと上)で、8,500lx前後くらい、
水面で、約30,000lxくらいですね。

曇天の日の外が30,000lxくらいって言われているわけですから
それと比べたら底床面はかなり暗いですね。

ちなみに今日(晴れ・14時)の屋外に置いた水上葉育成箱を計ったら、約35,000lx
太陽光が当たっていない窓際の明るさを計ったら約5,000lx、
私の仕事部屋のデスクの上で約500lx、
でした。

じゃー、水槽内の照度を計ったものがないかって探したら、
こんなページ(チャーム)がありました。

比較されている中ではいちばん明るいテクニカインバーターライト600 を
60cm水槽に設置して、水が入っていない状態でソイル面の照度を計って6,640lx。
あっちはちゃんとした測定をしていて、こっちは簡易ですから
(でも、こっちは水やガラスを通した光の測定ですけどね)、
単純には比べられないけど、まー充分って感じですか。

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追記。
40cm水槽の方は、水面で10,000lxくらいでした。
60と比べて明るさ1/3。
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さらに追記。
Panasonic EVERLEDS(エバーレッズ) LDA11DHW(PA) ×4灯に変えてみたところ、底床面での照度が10,000lxになりました。充分ですね。
 

■照明設置の高さ

 

市販のアクアリウム用の照明であれば、専用の取り付け器具を使えば適切な高さにセットできますよね。

前述のように家庭用の電球を使ったりすると、適切な高さにセットできるように自分で工夫する必要がありますね。

 

例えば、前述のうちの場合...LED電球(照射角120度)をクリップライトの傘に付けて4灯を水槽の前後中央のラインに電球を並べた場合は、

水面から10〜15cmの高さのところに設置すると、
水槽の上端あたりにもちゃんと光がいくように出来ます。

 

もちろん照射角がより広くて照明むき出しなら、もっと水面近くにしても大丈夫ですし、照射角が狭ければもっと高く設置する必要があります。

 

もちろん底床面の明るさは、照明を高いところに設置するほどに減少していきます。

ちなみに前述の10000lxを超えているのは、水面から4cmのところに設置した場合で、10〜15cmくらいに設置すると1-2割くらい明るさが減少します。(うちの場合は、12cmで9000lx弱)
照射角がより広い照明なら、もっと減少率は大きくなりますね。

 

ちなみに明るさという点でついでに書いておくと、ガラス蓋を付けるともっとずっと水槽内の明るさが落ちます。

明るさが減少する割合は、照明の直下より、水槽の端の方がより大きくなります。

ナナメにガラスに光が当たると、より反射しちゃうわけです。

 

それと照明の高さは、水の温め易さにも関係していますね。

照明の種類や形にもよりますが、水面に近くに設置するほどに水を温めやすくなってしまうことに変わりはありません。

ガラス蓋はさらに熱も篭もらせますね。

 

うちでは、クリップライトの取り付け方で、高さ4cmと12cmを簡単に切り替えられるようにしています。

  • 水草の背が低い時、秋冬春の3シーズンは、4cm。
  • 水草の背が高い時、夏場は、12cm。

 

照明の高さは、水槽内全体の陰影の印象にも関係しています。

  • 照明を低く設置すると陰影が濃く出ます。
  • 照明を適度な高さに設置すると、水槽の前面ガラスなどの反射がかなり出て、結果的に前景と後景の間にできる影の部分に光を送ります。
  • さらに高く設置すれば、やはり陰影が強く出ます。

 

■照明設置の前後位置

 

照明を前後中央のラインより、手前に付けるのか、中央につけるのか、後ろに付けるのかで、

  • 水槽内の陰影の印象
  • 水草の育ち方 草姿
  • 魚の見え方

が変わってきます。

 

当然ですけど、前よりに付けたほうが、

  • 陰影が少なく・全体が明るく見えます。
    ...のっぺりするとも言えます。
  • 後景草の麓の水草などの育ちが良くなります。
  • 手前に向かって這いやすくなります。
  • 全体的に葉面が前面を向きがちになるので、全体の密度感も出やすくなります。
  • 水槽内に山などを作っている場合は、山の奥側に光が行きにくくなりその部分の水草の成長が若干悪くなります。
    また全体的に水草が前を向くので、最奥がスカスカになったりしがちになります。
  • 魚の色が自然に綺麗に見えます。特にネオンテトラの青などの構造色は手前から光が当たらないと輝かないので、かなり印象が変わります。

逆に中央寄りにするほどに、

  • 陰影が濃く出ます。...彫りが深くなります。
    よりダイナミックな印象になります。
  • プリステラやヌマエビなどの体が透き通った生態が手前にいる時に透き通った感じがより強調されて印象的に見えます。
  • 水草全体が奥に向かって...照明に向かって成長するので、若干ですが奥側のボリュームをより作りやすくなります。

印象としては、

中央部真上からの照明が、通常の写真だとしたら、

前よりに照明を置いた場合や、万遍なく光を当てた場合の印象は、HDRをオンにして撮影した写真のようになる

って感じですか。

 

個人的には、割と陰影が付いていたほうが好きです。

印象が立体的になりますから。

...後景草の麓の前景草の育ちが悪くなるのはイヤですけど。

 

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