施肥の全体像概観

以下、かなり大雑把ですけど、どんな水槽だとどんな施肥が必要になるかについて表にしておきます。

  • すべてソイルを使っている水草水槽であることを前提にしています。
  • 左側の項目の「低」は、低速型...陰性水草だったり水草の量が少なかったり...と水草の栄養消費が少ない水槽を意味します。
  • 「高」は、高回転型で、水草の総成長量が大きく栄養消費も大きく、エサの投入量も水草の量に対して少なめのバランスの水槽のことです。
  • 「短」は比較的短期でリセットしていく前提の場合、「長」は中長期に維持する場合。
  • 「K」はカリウム、「N」は窒素、「CaMg」はカルシウム・マグネシウム、「ME」は鉄やマンガンなどの微量元素を表します。
  • 「ー」はほぼ不必要、「◯」はほぼ必須、「△」は状況に寄ることを表します。

K N CaMg ME
低・短  △
高・短



低・長

高・長


■まず必要なのはカリウム

ある程度栄養豊富なソイルを使っていて、低速型で維持し、ソイルの寿命あたりでリセットするような場合は、殆ど肥料を使う必要はないと思います。

ここで言っているソイルの寿命とは団粒構造が維持されているか否かもありますが、それ以前にソイルの肥料分が残っているか否かです。水草を大量に高成長させていると数ヶ月以内にはほぼ栄養切れと言っても良い状態になりますから。

それでもカリウムは水換えによって簡単に流亡してしまうので、水草に対して魚が多い(エサが多い)などの理由で頻繁に水換えをしていると、僅かですが施肥が必要になるかもしれません。


より水草を大量に高成長させる・長期的に維持するということであれば、確実にカリウムの施肥は必要になります。


■高回転で中長期維持なら いずれ窒素が必要になる。

高成長する水草を大量に植えて、さらに魚(エサ)も少なめといった栄養消費の大きい水槽では、中長期的には窒素肥料の施肥もほぼ確実に必要になります。

比較的低回転の水槽でも、底床内の窒素分がとても重要な水草(ex.クリプトコリネ、ロータス、ブリクサ...)を入れている場合は、長期的には僅かですが窒素分を底床に供給してやる必要が出てきます。


■カリウム添加をし過ぎた場合などにCaMgが必要になる。

カルシウム・マグネシウムは、多くの場合は水換え、ソイルや石などの底床材...などから必要充分に供給されるのですけど、よくあるのがカリウムの添加過剰によって、カルシウム・マグネシウムが必要になることがあります。このあたりのリクツは関連ページを見てください。(必須元素別の理解など)

頂芽の萎縮、新芽が出にくい、旧葉が緑と黄色の斑になる、根張りがとても悪くなる...こういった症状が出ている時は、カリウム過剰(相対的にカルシウム・マグネシウム不足)の可能性が高いと言えます。

肥料の添加量って難しいですからね。肥料の裏書や専門店の言うことに従ったあげく添加し過ぎちゃうってのはよくあることです。

カリウム過剰でなくても、GHやpHの下げ過ぎだったりリンの蓄積だったり...などの理由でもカルシウム・マグネシウム不足になることはあります。


■微量元素供給の基本は、総合肥料を使って。

鉄やモリブデン、マンガンなど(使っている水道水や底床材などにも寄りますけど)、長期的に維持しているとほぼ確実に足りなくなってくる...しかし必要なのは極微量...多いとむしろ害があるという栄養素もあります。

こういった栄養素は、基本的には実績のあるメーカーが出している総合肥料...カリウム主体で微量元素も加えたもの...を使っておくのが無難だと思います。

つまり、カリウムの施肥に炭酸カリウムなどのカリウム単体を使わないで「水草用液肥」などとして売っているものを使うっていうことですね。

微量元素供給も細分化して行うということも無くはないのですけど、基本的には薦めたくはないです。(肥料分の細分化管理の是非


つまり、高回転で中長期維持以外の場合の多くは、カリウム主体の水草用の総合肥料だけあれば基本的には良いということですね。...そりゃそうです。メーカーはそのつもりでつくってるんですから。


とは言え、ここまで書いたのは、とてもザックリとした話。

実際には水槽は千差万別。水質、水草の種類・量、光量CO2、魚の数:エサの量、底床に最初に仕込んである肥料分...これら様々なバランスで適切な施肥の形は変わっていきます。

水槽のバランス


コメント: 0